安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ダマスクス爆発、誰の所行か
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( 2012年 5月 11日 金曜日


●シリアの首都にキノコ雲
シリア内戦は停戦合意をそっちのけにエスカレートするばかり、10日朝の爆発はダマスクスの空にキノコ雲が上がる大きさだった。死者55人、負傷者372人、車二台が朝の通勤・通学ラッシュアワーに爆発したのだから、最大限の犠牲者を狙った無差別テロである。犯行は道路上、軍情報機関の集合建物の前である。

政府側は、情報部の10階建ては前面が被害を受けたことで反政府派の自爆テロと非難するが、3メートル深いクレーターが出来る爆弾など反政府の寄り集まりが作れるだろうか。すぐ自爆と発表した。そんなことわかるもんですか。爆発した車は粉々に吹っ飛び、55人の死者の多くが識別困難、誰のシワザだ?

一方、ホムスではほぼ毎夜、政府軍戦車がミサイル攻撃を続けている。この場合は誰の仕業か明らかだが、首都ダマスクスの爆発に関しては政府・反政府の両側から仕掛けているようだ。

●首都のテロ合戦は政府側が凌駕
一覧してみよう。▽3月17日:警察所と航空情報局を狙った連続爆発。死者27、負傷者100.▽4月2日:警察とホテルの近辺で爆発。負傷者4。4月27日:モスク近くで爆発。死者10+、負傷者20。

モスク以外はいずれも政府側を攻撃しているように見える。だが被害者は殆どが民間人である。ダマスクスの市民は多く政府側であることは、リビアでカダフィがいる首都トリポリ市民は陥落するまで政府側であることと同じ保身によると考えてよい。

市民は反体制シリア人のテロとは言わず、外国勢、つまり反体制派に肩入れするサウジ、カタールやトルコからの侵入テロリストの仕業という。この言い方もトリポリ市民がTVの前で叫んでいた「外国勢とかアルカイダの仕業」と符合する。

政府側と反体制側は互いに非難し合うばかりでラチがあかない。しかしアサドのシニカルなやり方は一世論を味方にするためなら一般市民も公民も平気で殺す権謀家である。わたしは首都でのテロは政府側が凌駕しているとおもう。

●口を濁す国連監視団
さて、誰の所行か、現在105人いる国連停戦監視団(団長はノルウェーのRobert Mood少将)は自分たちの命がかかっているからハッキリ言えないで「遺憾、平和に役立たない、暴力は止めよう」なんてケンカ両成敗も言えない状況だ。

でもね、アスファルト道路に深さ3mの穴をあける爆弾で思い起こすのはベイルートでハリリ首相を殺害した自動車爆弾である。駐在シリア軍の仕業とほぼ断定されている。

シリア内戦に米は反体制派支援の姿勢を湿しているが、武器は援助しない。人道的物資と情報通信機器を国外にいる反体制派を窓口に提供する。これくらいではアサドを倒すのは難しい。

民心が離反したら政権が変わる国って、つくづく幸せとおもう。(了)






Pnorama Box制作委員会


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