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ネタニヤフ、穏健野党と大連合
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( 2012年 5月 9日 水曜日 )
●ネタニヤフ、最大野党カディマと大連立
右翼のなかの右翼ネタニヤフリクードを率いて首相になってから7年目、イランの核開発が脅威となるにおよんで地位を確かにしてきた。7年前、最大野党カディマのモファズ党首が連立に失敗したため、ネタニヤフが右派連合に成功し政権を取った。あのときは世界が驚いたけれど、わたしはノーベル平和賞を貰ったシモン・ペレスがパレスチナ・テロ対策に無能ぶりがばれてネタニヤフが初めて首相になったときから好きな硬骨漢である。 入植再開やガザ支援船拿捕など、米欧からも非難轟々だったが、オバマは首脳会談をいくら重ねてもどうすることもできない。論争ではオバマもキャメロンも歯が立たない。サルコジは合う前から負けている。そういうネタニヤフでも、議会運営は難しかった。 そこでカディマ人気が衰えたいま、総選挙を前倒しして与党の議席拡大を隠したのであるが、なんだ、カディマと大連立を組むと発表。これで120議席のうち94議席を大連立で占めるのだから政権は盤石になるが、政策は穏健にならざるを得ない。カディマは総選挙での敗退を免れるので乗って損はない。 ●脅威が消えれば軟化するネタニヤフの読み なぜネタニヤフがここにきて穏健になるのか、考えてみていちいちなるほどとおもえるのである。▽まず、イランの核施設爆撃に米の許可が出なかった。そうこうしているうちにイランでも空爆からの防御体制、ミサイルの能力が向上してイラン攻撃が現実的ではなくなったこと。▽パレスチナではハマスとファタハが和解し統一政府樹立にあと一歩、中東和平交渉の機運が出てきたこと。 イランではアフマディネジャドの支持が減少し、議会で大統領派が少数になっている。ハメイニ師の意向に反した人事がアダになったといわれる。とはいえ反対党が1議席も取れなかったことで、不正大統領選挙をやりなおせと抗議デモが起こった。しかし「ハメイニが大統領選挙に不正はなかった」と言ったことで群衆が爆発、『独裁者に死を』と叫ぶデモが広がるなど、イランにも政権崩壊の兆しがある。 ネタニヤフはその辺を読んだうえで、イランを静観、シリアを注視、トルコとの不仲は時が解決する、と踏んでいるのではないか。(了)
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