安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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敗者はメルケル
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( 2012年 5月 8日 火曜日


仏の大統領選、希(ギリシャ)の総選挙で厳しい局面に立たされたのはメルケル、敗者はEU財政規律を強化したメルケルである。

●EUを支えたフランコ-ゲルマン体制にヒビ
EUポリティックを作成してきた独仏の協調をフランスはドブに捨てる。オランドは景気浮揚策、つまりお金を印刷して市場に供給する。フランスとギリシャの国民は、赤字財政からバランスのとれた緊縮財政で欧州建て直しを図ろうとするメラケルに背を向けたのである。オランドの対EU姿勢は選挙の売りに過ぎないとの見方もあるが、近々行われる独仏首脳会談は具体策で何も出ないだろう。表向きはいくらでも飾れるが、同意できる具体策が出なければ決裂と見て良い。

●ユーロ離脱に向かうギリシャ
ギリシャの総選挙はEU脱退と反緊縮を断固遂行する急伸左派連合が躍進、移民排斥、外国勢力(EU)排除で結集する黄金の夜明け党、わかりやすく言えばニューナチである、が国会に初登場、一気に21議席を得た。

ECBから首相に請われて就任したパパデモスの人気は現実的な財政カットで人心が離反、は EU の支援金に感謝する国民性をギリシャ人は持ち合わせていない。負債を半分以上チャラにしてもらったうえ、支援金をいったい何十兆億円受けたのか、本来なら有難さに手を合わせて拝むべきと思うわたしが古風なのか。第一党のサマラス党首が大連立交渉を始めたが、はて、できるのかな?

●ツケを次世代送りにする金融緩和
メラケルが慌ててギリシャに支援条件の遂行を促したが、馬耳東風である。メラケルへの風当たりがドイツで強まり、イタリアとスペインへの救済からドイツは手を引くだろう。そのイタリアとスペインはオランドの緊縮財政政策をやめて雇用促進、景気刺激で経済低迷を乗り切る方針になびいている。借金を次世代送りにする政策を永遠に続けることは出来ない。「いま」を改善できれば方法には眼をつぶる人々で世界が充満している。いつからこんな世界になってしまったのだろう。

アメリカはリーガンの時代からドル紙幣を増やし続けてきた。中国の経済政策もそうだ。日本はもっと長く続けて世界でも稀な財政赤字を膨らませている。いまでは君がやるなら僕もやる倫理に歯止めが利かない。ユーロ政策も然り、国家の金融政策は既にグローバル・アナーキーに陥った。そう思う。

EUポリティックは混沌ではないが制御不能となるだろう。とはいえEUそのものが解体するのではないので、わたし自身は言うほど心配していないのですが。(了)






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