安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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クルージング閑話(5)
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( 2012年 5月 3日 木曜日


●名瀬 4月19日
那覇の翌日は奄美大島へ、名瀬に昼前に着く。小雨模様のなか、われわれの日程は「金作原探検」エコツアーに申し込んであると女性3人組から聞かされ一緒に行く。わたしは家から近い欧州へは家内とよく行くけれど、台湾、沖縄は初めてだ。家内は日本までの長い飛行時間に耐えられなくて帰省はいつもわたし一人である。こちらでの旅行はいつも兄妹まかせ、手前といたしましては博物館や美術館に行きたいのだが、指図に従うしかない。
寄港まえ、ボス3人組

「金作原」なんて聞いたことがなく妙な地名だな。でもみなさんよく知っているらしい。コースは3時間、原生林のなかを1時間散策するという。小型バスにわれわれ6人とクルーズ客のカップルなど14人ほど、運転手のほかにガイド氏がマイク無しでよどみなく金作原の原生雨林について,植物の生態など前知識をいれてくれます。

よどみないガイドと言いましたが、「アー」とか「ウー」とか、「それでー」とかがまったくない標準語が丁度いい速さ、知識の深さはタダモノではない!という印象です。実に興味深い話しを聞かせていただいたのですが、花鳥風月に弱く、石なら少々知ってるが、植物や鳥類、昆虫などまったく無知なわたしですから、悪いけど忘れるわな。下の写真はシダの化け物みたいなヒカゲヘゴ。



原生雨林の中を散策中、バケツをひっくり返したような大雨に……。薄借りた傘は頭を防ぐのみ、全身グッショリ、ズック靴は中まで水浸しになってバスに引き上げる。わたしゃTシャツ一枚だったのでちょっと寒かった。原生林の天を覆う葉が雨を受け葉上に蓄積するので土砂崩れが起こらない。

覚えている小噺し:
▽ 標準語を喋る奄美人。かつて60年代に集団就職で本土へ渡った若者が言葉で苦労したため、学校では標準語を徹底させるようになったという。
▽ 亜熱帯の原生林はいつも青々としていて、枯れ葉の朽ちる森独特の臭いがない。倒れた枝や落ち葉の分解が早く一年で土になるからだという。余談ですがノルウェーの北部では落ち葉はおろか枯れ草も腐らず真っ黒に変色して残っている.冷寒地では分解するバクテリアや土中の虫がいないので沼など水はきれいでも下が真っ黒、沼の名前はたいていSvart tjern(黒沼)と呼ばれている。
▽ ハブは夜行性であり、道路を歩くかぎり心配ないが、絶対に道から逸れて森に入らないよう、オシッコにちょっと入らないよう注意があった。奄美の家々はあいだに空き地をつくらないよう接しているそのワケは、ハブを近づけないため。ハブの毒は痛みが強烈で全身を数百のカミソリで切られるようだという。内蔵が融けるより先に痛みで死ぬ。
▽ 原生林の樹木の高さが均一なのは何故か? ひと際抜きん出て高くなるとその部分が台風で折れるそうです。出る杭は打たれるわけだ。
▽奄美の黒兎は耳が小ちゃくずんぐり大きい。動きが緩慢で跳ベなくなったのは
 熊や狼はおろか、鷲や鷹もいない土地、天敵は人間しかいなかった。(続く)






Pnorama Box制作委員会


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