安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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続・強権腐敗プーチンのロシア
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( 2012年 3月 5日 月曜日



●ナントカの目にも涙
プーチンが早々とクレムリン横の広場に設けられた支持者集会に登場、かんたんな勝利宣言の締めくくりに「我々は勝利した」(拍手)そして「ロシアに栄光あれ」を2度絶叫してマイクを降りた。このとき目が潤んでいたのですな。やはり人気の影りを気にしていたでしょう。緊張が解けてご本人は感無量ではあっても、反プーチン派には「ナントカの目にも涙」と映る。



旗や小物を整えた支持者の群衆には動員されたものもいる。この日6000人の警官が動員され、政府主導のプーチン祝賀集会である。一方、反プーチン派は月曜の夜に抗議デモを計画しているものの、負け試合のあとでは意気あがらない。

●水増し不正「カルーセル・バス」
昨年12月におこなわれたドゥマの選挙が不正まみれだったように、今回の選挙も不正話しが飛び交っている。すべての投票所にモニターを設置したことで、プーチン側は史上最も開かれたクリーンな選挙と持参するが、同一人物が複数の投票所をまわる「カルーセル」と称される方法が広く行われている。投票を終った一団がバスに乗って別の投票所に移り、身分証明所を見せて何食わぬ顔で投票するという。身分証明所がニセなのか、有権者登録が複数の投票所に不正登録されているのか、そんなところだろう。

工場では上司から誰に投票するか指示がある。退職者を僅かな金で買収する隠し撮りもありました。それやこれやでロシアの選挙では棄権する者が多い。しかし今回の投票率は64%。おかしいな、ちょっと多すぎるのでは?

●栄光か、混乱か
08年に70%を得票したプーチンの勢いは弱まった。都市部でのプーチン支持は今でさえ30%である。プーチン3期目の任期も今までのように言論弾圧、メディア規制を緩めない。だが広がる反政府行動を抑えきれるだろうか。ロシアの栄光は幻影、混乱が予想される。

●日本よいとこ出たくない
出来るものなら外国に移住したいと答える労働年齢層が55%もいる。これがロシアの現実、だからEUはロシアの加盟願望に消極的なのだ。翻って日本人に日本脱出願望がどれほどあるだろう。学者になりたい学生なら必ず1〜2年の海外留学を志したものだ。ポスドクは必ず『武者修行』とよぶ海外研究生活を経験してくるのだが、昨今では断る者が多いという。何故か、覇気がないからではない、日本が住み良いからにほかならない。ロシアに比べれば日本は天国なのです。(なお、アダチは日本を出たくて移住したのではありません。)

就中、G8やG20のサミットに今年からプーチンが出席する。各国首長は儀礼的なオベンチャラで持ち上げ……各々方、疲れることよのう。(了)






Pnorama Box制作委員会


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