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パキスタン、アフガン、イラン三カ国サミット
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( 2012年 2月 18日 土曜日 )
●アメリカにビンタ
パキスタンの首都イスラマバードでアフガニスタン、イランの首脳が会し、金曜日に会談を終えて睦まじく記者会見におよんだ。 写真は中央がホストのザルダリ。左カルザイ、右アフマディネジャド。 パキスタンの新聞(The Pakistan News)の見出しに「三者協力ロードマップを推進」とあった。そのとおり、このサミットはアメリカの横っ面を叩くデモンストレーションだ。アフマディネジャドが「この地域のすべての問題は、外部から利益を求める干渉勢力(米、国連)が原因だ」と、常套句ではあるがザルダリとカルザイを代弁するようで米は不愉快きわまりない。アフガンから撤退した米軍のスキに、まんまとイランが入り込んだ構図である。実際、三者協議を提唱したのはアフマディネジャドだった。 ●パキスタンの苦渋 パキスタンでは、米のドローン攻撃が市民を巻き添えにする事件が跡を絶たず、サミット前にも北ワジリスタンで21人が殺されたが、タリバン兵士なのかシンパの市民か不明。パキスタン国内で独自に軍事行動をとる米に、政府も軍(キラニ将軍)もガマンできない。ザルダリの汚職問題もあって米との関係はいま冷えきっている。しかし、パキスタンは誰のおかげで政府と軍隊が維持出来るのか、ムシャラフ以来この10年でいくら援助をせしめたか。日本は敗戦後米占領軍の食料等復興援助を受けたがその額はパキスタンが受けた100分の1くらいであろう。日本人は飢えをしのいだ小額の援助に感謝し、パキスタンでは市民にまわる割当が汚職に消え反米が渦巻くのである。 ●アフガニスタンの恩知らず アフガニスタンの復興援助にアメリカは莫大なお金と物をつぎ込んだ。カルザイ政府の上から下までいった誰から給料が出ているのか、知らないわけはない筈だ。ま、米側には現地の感情を無視した施策の不条理が多々ありタリバンでなくても「外国勢力憎し」であろうが、後ろっ屁を放たれるアメリカも気の毒におもう。 カルザリはタリバンとの和平交渉が捗らず、タリバンの一部から「米の傀儡とは交渉しない」と通告されたので腹いせに米とタリバンが交渉していることをばらしてしまった。木曜日のパキスタンとアフガニスタンの二国間交渉で、カルザイが「タリバンの温床である国境地域を掃討せよ」と持論を展開、大げんかになったという。 ●反米で一致 だが、タリバンとの交渉は米とではなくアフガン政府と行うべきとの姿勢で一致した。国家の主権と独立を身にしみて感じている両者は、米の政治的軍事的介入を排するために意気投合、翌日の睦まじい記者会見になったのである。この三か国は利害が一致する。たとえばイランの核開発に核保有国であるパキスタンは反対しない。西側から経済制裁を課せられたイランは石油パイプラインを二国に敷設する計画、オバマの歯ぎしりがきこえるようだ。(了)
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