安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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シリア内戦、ロシアに非難集中
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( 2012年 2月 10日 金曜日



●対シリア国連安保理否決
アサドの退陣、権限委譲、事実上レジームチェンジを求めた対シリア国連安保理(アラブ連盟提議案)でロシアと中国が拒否権を発動した件について、この案なら中露が拒否するのは100%判っていたこと。

ところが今回は米が厳しいロシア批判を展開し、同時発生的に国際世論は特にロシアを邪悪な国と一斉に非難がはじまった、メディアだけではないのですね。一般市民がアサドに「殺しのライセンス」を与えたに等しいと息巻く。

●責任をとれ ロシア!
常任5カ国による拒否権発動など、過去いくらもあった。イスラエル非難決議にはすべて拒否権でこたえる米がダントツで、1980年以来60回くらいになるだろう。かといってアメリカ悪者という国際世論は大きくない、今回のように敢然とわき起こったことはなかった。ロシアは10回以内、中国はもっと少ない。拒否権を使った国にこれほど非難の世論が集中したのは初めてではないか。欧米とアラブ連盟は世論の爆発的援護を読み込んで中露を悪者に仕立て上げた。ロシアのラブロフは火消しに懸命、シリアの暴力停止はシリアに軍事的なロシア権益(軍港、武器輸出)を有するロシアにボールが投げられた。

●体制派ダマスクス市民の狂喜
それでラブロフは7日ダマスクスを訪れアサド説得に赴いたけれど、ロシアの糸はアサド政権維持だからどうにもならない茶番となった。ダマスクスでは市民が救世主を迎える如く沿道を埋め、アサド政府は大歓迎。そりゃ、政権の反政府軍市民の殺傷にお墨付きを貰ったもの歓迎しますわな。

●対策に苦境の米欧
反政府運動発祥の町、ホムHOMは政府軍戦車の無差別砲弾で悲惨な状況、中露悪者のせいである。欧米首脳は国内世論の突き上げで、なにか具体的な手だてを出さなければならない苦境にある。軍事介入あり得ない、経済制裁はかえって反政府市民を困窮させる。ヤミのルートで武器援助拡大、在トルコ亡命政府支援に落ち着くだろう。

欧米は大使館を引き上げ、中国はご都合で内政不干渉を建て前に、シリアとの通商拡大に虎視眈々、イランでは欧米の経済制裁を好機に中国がビジネスを横取りした。留守宅に侵入するコソドロもどきである。(了)






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