安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興

0

-------- ----------------------------------
太り過ぎについて
------------------------------------------
( 2012年 1月 7日 土曜日



●ことしこそは
1月2日に新年の誓いや抱負を一筆したためる。居住まいを正して和服で正座して神妙に、「禁酒」とか「禁煙」とか力強く書くのであるが、そう言う習慣はもうないだろう。いまも小中学生が大勢あつまって筆をとる「新春書き初め」大会が各地でおこなわれているようだが、家庭では廃れている。

墨書きして誓わなくても、新年に太り過ぎを期する人は多い。西洋人はクリスマスから新年にかけてのパーティが終ったら、1月1日からダイエットを始め減量する決意でスタートするが、三日坊主は古今東西かわらない。わたしはメタボではないので太り過ぎの人に厳しすぎるのかもしれないが、減量維持はとても難しいようだ。

●太る環境
ソフトドリンクやハンバーグ、スーパーの地下へゆけば持ち帰りの安くておいしいフードがいくらでもある。家庭の主婦が洗濯掃除、歩いて毎日八百屋さんへ、火鉢の炭入れをしなくなった。主婦の力仕事はもうないのである。TVの前で何時間も過ごしているようでは摂取カロリーのはけ口がない。当然体重がふえる。

勤め人をみると、肉体労働にあたる職業はいろいろあるが、実際に重い物を持ち上げたり肉体を酷使する労働ではなくなった。便利な電動工具の発達、起重機や土木機械の操作に代り、ゴツゴツした手の「土方」は開発途上国でしか見られなくなった。ホワイトカラーもブルーカラーもモニターの前や車の中にいる時間が多くなった。

●太らない悲しい環境
土木工事を人海戦術で成し遂げていた頃の中国では肥満児がいなかったが、一人っ子政策の影響も有り子供の太り過ぎが問題になっている。多産なインドではまだ問題化していない。毛沢東以来、主席は肥満型が尊重されてきた中国はかわろうとしているが、北朝鮮では腹を突き出した肥満型が主席の必須条件である。

●外科手術の効用
肥満によって引き起こされる病気が多く、健康に悪いのは本人が一番良く知っている。職種によって就職が制約され、体に合う衣料品がすくない。鉄道や飛行機で、身の竦む想いをしているのであるから、横合いから非難めいた目つきは禁物である。当地,近所に小さい頃から肥満に悩んできた子供がいた。35歳の頃に腸を半分に切り取る手術をした。それで体がすっかり細くなり悩みは解消、生き生きと人生をエンジョイ出来るようになったのを見ている。胃を小さくしたり、胃から腸にバイパスをつくるなどの手術や、人によっては手術ができない場合もあり、生活パターンの改善が本道であるとおもう。しかし手術後初めて自信を得た上述の女性を見ていると、日本でも外科治療をもっと認めてよいと思うようになった。美顔整形よりはるかに倫理的である。

なお、肥満症を日本では「メタボ」(metabolic syndromeの略)呼んでいるが、英米メディアの医学用語では、Obesityが多い。また病名では当人に中傷的であるためOverweight「太り過ぎ」もよく使われている。(了)






Pnorama Box制作委員会

HOMEへ戻る