●石もて追われるごとく
土曜日の夜のローマは、ベルスコーニ辞任要求のデモが、週末の夜遊びを凌駕した。Bye Bye Silivioや Game Overと書かれたバナーの中をベルスコーニの乗った車が大統領官邸に向かう。自らの辞任と後継首相モンティを報告するためである。
イタリア史上、戦後最長の首相の幕切れは、怒号を浴びせられ、石もて追われるもののごとくであった。武士の情けはないものか、デモ人種に憐憫の情はない。17年間も盛衰はあったがイタリア政界を優占してきたのは、それだけ有能だったわけで、任期前に辞職して消える首相と同格になぞらえる資質ではない。実際ベルスコーニの前のイタリアは小党乱立して日本のようにコロコロ首相が代る国だった。
●仁義なき群れ
緊縮財政政策が急ぎ可決され、モンティ元EUコミッショナー、現大学総長が組閣に着手したことでデモは一転してお祭りにかわった。これでイタリア経済の再建が確かになったとデモの人々は品性がない。憎い相手を排除して事が良くなるなら苦労はないよ。
この新年度緊縮政策を提出したのはベルスコーニではないか、それなのに認めようとしない、この国民に耐乏を強いる財政再建案が可決されるときに辞任すると表明したのは、可決を見極めるまでは「死にきれない」使命感であろう。派手でカラフル、手法が狡猾な政治家であったが、欧州の同僚のなかで悪意を感じさせない存在であった。
ギリシャと同様、暫定政権を率いるのはEUへ出向していた経済学者になった。政治家はコリゴリなのだろうか、目立たない灰色の経済人が適任か,資質は別にしてみなさん頭を冷やす役にはたつだろう。
●緊縮分野概要
GDPの120%にあたる政府債務から600億ユーロの借金を2014年までに返済:
▽ 消費税20%⇒21%
▽ 公務員給料を2014年まで凍結
▽ 年金支給開始65歳⇒67歳(女性は現行60歳から2026年まで段階的に67歳に引き上げる)
▽ 脱税監視を厳重に
エネルギー部門に特別税