安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興

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パルテノンが揺れた日々
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( 2011年 11月 5日 土曜日



●ギリシャ国会、ドラマおわる
ギリシャ政府に対する国会の信任投票は153ム-145でパパンドレウが勝ち残った。
投票前の国会周辺はオパパンドレウ退陣を求める群衆、与党の寝返りが3人あり信任が危ぶまれていたが、わたしは土壇場で頭を冷やして常識に戻ると思っていた。外の群衆はあの調子でも、後ろめたい気持ちのある議員たちの少しは正気に戻るだろうと期待していたのです。借金の半分が棒引きされるEU支援を断るバカな議員はそう多くない筈だ。

(NRK-Videoより)

野党は政権を取ってからEU支援を再交渉しようと虫のいいことを考えているが、「もう遅い!」門前払いだ。それしきのこともわかっておらん政権至上主義の政治家が世界にはなんと多いことか。

●身内の謀反に泣いたパパンドレウ
先日、パパンドレウが国会で信を問うことを条件に国民投票を撤回したときは彼らしくない妥協に驚いた。対外的には強い鉄仮面の首相だが、ベニゼロス財務省を筆頭に身内の反旗にはどんな英雄も、独裁者ですら抗えない。日本の首相が入れ替え立ち換えするのは能力に問題があるケースもあるが、身内の引きずり下しに抗えないからである。

信任投票に先立ちパパンドレウが国会でパッションのある訴えを聴いて、素直なわたしは逆転勝ちを強くした。だが、当人は信任を得ても、新しい首相による連立政権を示唆している。当人が独断・ソロプレイで言い出した国民投票は世界の顰蹙をかい、市場は目まぐるしく急騰から急落へ、もはやパパンドレウはカリスマを失いただのオジさんに見えるから不思議である。

●ユーロ嫌いのギリシャ人へ
さて、信認された新政府がEU支援を得て、順調に国家再建に向かうなどと思うものは居ない。あるギリシャの主婦が言った「気前よい夫でしたが突然、家出てしまった。あとに多額の借金があるなんて知らなかった。いまさら私に払えと言われても、政府という名の夫が勝手に借金したのをミルクも買えない私(国民)が払う義務はない、ユーロなんか要らない!」

言えてるけれど、ユーロを離脱してドラクマ(ギリシャ通貨)に返っても国の借金はユーロで残るのです。棒引き50%も無くなりますから、ドラクマをユーロに換算するとユーロ圏を出るのと入っているのでは借金が4倍差になりましょう。アメリカも中国も助けてくれません。ギリシャの国立機関は給料が払えなくて大削減、警察機能不全、銀行破産、病院封鎖。そうなればミルクどころか水道も出なくなります。そうならないようギリシャの皆さま、EU支援を受けて慎ましく生きましょう。(了)






Pnorama Box制作委員会


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