安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興

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東尋坊と永平寺
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( 2011年 10月 23日 日曜日



●甲南漬けの老舗
前記コラムの続きです。宴の日はサトー宅で泊めていただき、翌日案内されて甲南漬けの老舗本社家屋が資料館になっているところで元のままらしい明治のお庭を見ながら釜飯を食べる。甲南漬けは奈良漬けとおなじ製法、酒粕にウリやキウリを樽に漬けるのだが漬け直しを六回もするのでした。

●谷崎潤一郎記念館
戻って近くにある芦屋美術館へ、あいにく改装中で休館のため隣の「谷崎潤一郎記念館へ」、この節は探偵小説の横溝正史と江戸川乱歩の展示がありました。谷崎も探偵小説をいくつか書いている。妻を徐々に毒殺する完全犯罪小説は、谷崎と不和にあった妻をモデルにしているという展示説明があった。いやはや恐れ入った文学者です。

横溝正史や江戸川乱歩は中学生の頃の愛読書でしたからおもいだしながら3時間くらい念入りにみました。入口でおばさまたちが「タクシーを注文出来ますか、ここは一通り見るのにどれくらい時間がかかるか、その時間にタクシーが来る様注文してほしい」なんてさすが芦屋だな。受付のお嬢さんが30分くらいと応えていたので、3時間かけたわたしは稀少だろうな。

●東尋坊
21−22日は吾が兄姉妹の夫婦家族と片山津温泉へ車2台で一泊旅行に行く。途中東尋坊に寄る。20歳の頃美術学校の研修旅行で来たことがある。その頃はみやげ物の通りはなかった。ただバスでいわば近くに降りて、まじめにスケッチする学生もいたが海岸まで斜めにおりる岩を女子学生の手を引いて降りていったり遊んでおった。我々数十人のほかに人影まばらだったのに、観光客だらけだ。ちょっとでも覗くと売らんかな店員さんの煩いこと、だからうかうか店内を見歩けない。これは観光商売にマイナスとおもう。

海から東尋坊を見る30分の観光船があり、いろいろ説明してくれる。千数百年前の火山活動で噴火したマグマが堆積層に貫入、地殻変動でマグマが固まる時にできた柱状節理が地殻変動で縦になり、荒波で堆積層が浸食されて海岸表面に現れた。その通りマイクのお兄さんが言ったかどうか覚えていませんが、地質構造はそういうこと。説明に『この柱状摂理による奇勝は世界に世界でも三つしかございません。日本ではここだけ、韓国の金剛山、スカンジナビア半島にあるノルウェーの西海岸との3ケ所だけです』といったのにはビックリ、いい加減なものですね。東尋坊ほど奇観でないが日本中いくらでもある。ノルウェー西海岸に住み地質学に聊か関わる仕事をしてきたわたしは、驚きました。間違いではないが……。それよりも北アイルランドの通称Giant Causeway(巨人の石道)六角形の柱状摂理があまりにも見事、世界遺産になっていますぞ。世界遺産ではない東尋坊の観光協会としては言い辛いのかな。

●片山津温泉
片山津ではわれら7人の一行に男女に分かれて和風ホテルの最上階特別室を二部屋いただいた。4部屋、此の階ベランダ付き、最上6階は4部屋だけ、貴賓室と特別室一室がアキでしたから6階はわれわれ専用だ。だいたい此の階はエレベーターを出た所から別拵えになっておりました。同行家族の一人がこのホテルにツテがある由、一番安い料金でこのデラックスサービスには日頃無縁のわれらです。ありがとう、無邪気に嬉しい。食事も最高でした。

●曹洞宗大本山永平寺
翌日は永平寺を見て帰るプログラム。何度もきている兄夫婦と階段歩きがシンドイ姉はパス。わたしは最後の本堂に上る階段を見て棄権した大方は廻った。ちっとも面白くない。というのは前述した50年前の北陸旅行の際に永平寺に来たのだが、新しい建物や改築した堂宇があり、参詣順路を廻るだけだ。昔は何処でも歩けた。修行の僧がずらりと並んで座禅を組み、棒を持った坊さんが座禅僧の後ろを行きつ戻りつ、時に立ち止まり肩に軽く合図してから打つ。パシっと音がした。打たれた僧は手を合わせて頭を下げる。小生にはわけのわからん世界でしたが強い印象を受けた。

もうひとつガツンと忘れられない想い出がある。それは仲間の学生がぶら下がっていた木魚を叩いたときです。コーンと好い音がしたと思ったら、若い坊さんが現れ『カー』と深山に轟く一声「喝」を発した。あの恐ろしかったこと、文字通りわれら悪童震え上がりました。喝でカラスが落ちた伝え話はきっと本当だと思う。

さて、あの座禅僧のズラリと並んだ部屋の廊下はいま参詣路にないといえ、これだけ観光客の増えた大本山で禅の修行等本当にできるのか、今回はわけのわからんまま何の印象もなかった。(了)






Pnorama Box制作委員会


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