安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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アイスランドにリゾート地ム中国投資家
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( 2011年 9月 3日 土曜日



●欧州の危機は中国の好機
中国の民間投資家Huang Nubo氏、映像で見ると40代にみえるが55才という。この人物がアイスランドの北東部にグリーン・ツーリズムを計画し広大な土地取得の契約ができそうな段階まで進んでいた。900平方キロ(国土の0.3%)、場所はグリムスタディGrimstadir. アイスランドの国有地だけでは足りないので現地自治体がすでに地主4人と買収合意をすませている。

●苦しい時のお助けマン
2008年欧州金融危機にアイスランドは同国の銀行が国家経済の何倍もの負債を背負って倒産、真っ先に国家デフォルトに至った。この時から支援に厳しい欧州や米に反して。アイスランドに融資や紙くずの国債を買おうと言ってくれたのは中国。苦しい時の神頼みというか、アイスランド政府は有難く中国さまに敬服したのです。手始めに中国は首都レイキャヴィックにばかでかい大使館を建設、アイスランドは北京に大使館を増強して投資を勧誘した。

●寒冷戸外活動に年間1万人?
勧誘に応えたホアン・ヌボ氏は大きな顔でよいビジネスをしていると思っていたのですな。相手政府に頼まれたつもりだからむりもない、しかしチト変だ。アイスランドの寒さは温帯地育ちが経験しない寒さである。その北東部は人も動物も殆どいない。川は氷河から流れ、岩肌の高原、木々のない草の丘陵が広がる。そんなところに「ゴルフコース、乗馬コース、レースサーキットを造り、ハイエンドな国際リゾート地にする年間1万人の観光客を米欧から呼ぶ」と言われてもですね、夏でも寒い天候不安定な僻地ですよ。よくて年間1000人だ。採算が合うのでしょうか。

●投資家は元党員で建設省の役人
地下資源?地熱の研究にはなるが、経済的鉱物資源についてはない。戦略的拠点としては願ってもない地理条件にあるが開港でもなし? 勘ぐっても怪しいモチーフはないのだが、アイスランドの批評家が「この計画には良識と必然性がない」と喝破。分別のある人間なら取り合わない企画だ。Mr Huangは元共産党員として建設省で住宅、商業地区プロジェクトを中国全土で展開した経歴、フォーブスの中国高所得者番付で161位。

●市民の常識に目が覚めたアイスランド政府
この計画がアイスランド人一般に知られるようになり、事態が変わった。市民の常識が観光政策と投資に眼がくらんだ政府の眼を覚ましたのである。首相は再考を余儀なくされた。人口32万の小国アイスランドに大地主中国が出現する。アイスランドの批評家が「売り渡す土地の広さはアメリカでいうとミズリー州に匹敵する」とその異常性を指摘した。で、日本に置き換えると・・おや、日本各地の米軍基地の広さにあたるではないか。これも異常だな。(了)






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