安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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爆破と乱射、ノルウェーテロ(最終回)
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( 2011年 8月 31日 水曜日



●反ムスリムの犯人が政府労働党をテロしたわけ
ブレイヴィクはこのままでは全欧が移民に乗っ取られると考え、その移民受け入れ融和政策を政府、特に労働党が推進したとして現労働党首相雅執務する政府建物を爆破し、労働党青年キャンプを襲った。移民政策の最初の失敗とブレイヴィク(以下Bと略)が考えるブルントランド元首相がキャンプに来ているのを狙ったわけだ。

「マニフェスト2083」からかいつまんでBの歴史論?を書き出してみる。
欧州各国はイスラム移民人口の推移を1999-2030 に2-30%とし、「欧州市民戦争」の途上にあるという。イスラムグループへの武力攻撃と『保守派の増強』に努めなければならない。
そして2030年以降は欧州市民戦争が第2局にはいり、15-40%の欧州人口がムスリムで占められる。保守側から武力攻撃を強くするも、ムスリムの反撃も激しくなる。全欧州で右派による政府転覆と革命の準備段階にはいる。
第3局面は2070-2083、欧州人口の30-50%をムスリムが占める。「欧州市民戦争」の最後局面として欧州各国で連鎖的に起こり、マルチ文化、文化的共産主義は終焉する。マニフェストのタイトルはこの極右革命がムスリムに勝利する新欧州の年2083に由来する。

●普遍的な反ムスリム感情
以上、Bの歴史観を紹介するに留め、かような極端空想の仮説には取り合わない。しかし、中東民主化の市民革命に欧州NATOが肩入れする下層意識にあるものは何か?普遍的なムスリム嫌悪が欧州の指導者、国民にあるはずだ。わたしにもある。いくら厳しい移民禁止法を作っても、常に人道ワクを悪用する移民や,密入国を止めることは出来ないという焦りにも似た気分がある。

●同情票で躍進する労働党
今回の保守右派を自称するBが起こした虐殺テロで反イスラムの動きや、移民への嫌悪感がおおっぴらに言えなくなり、違法移民への強制送還が滞っている。次回総選挙では右党の政権奪回が確実視されていた。ところが被害者である労働党は同情を集め、9月の総選挙で党として曾てなかった得票が見込まれるようになった。Bの意図とは逆の結果である。

●長引く裁判
事件の残虐性と76人もの多数を殺害した犯人にマッチした法律はない。今回はじめて最も重い人権犯罪を適用して起訴されることになったが、捜査する範囲は人的、地理的に広く起訴は来年の秋になるとみられ、判決は何年先になることやら。Bは服装ほかタバコや覚せい剤など破廉恥な要求は多いが、独房で模範囚だそうだ。まだ弁護士以外は面会禁止で二週に一度くらい法廷に出る程度、まだ本格的な審理には入っていない。

独房でPC使用を毎日4−5時間もちろんネットは禁止だが許可され、法廷弁論を書いているらしい。社会の反応を知らされても「おぞましいが必要だった」「60年後には人々の意識が変わるだろう」と自分のやったことが正しいとわないバーチャル人間である。そんな状態が法廷審理の長い過程で保てるだろうか。生まれつきの異常者ならいざ知らず、Bはいつかブレークする、ブレークは必定とおもう。(了)






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