●毎年10万を超える暴動
毎年10万件の暴動が起きていると言われる中国、昨年は中国当局のいう群(MassiveIncident)の発生件数が127,000と発表、公式発表でこれだけなら実数はいかほどか。原因は地方役人の腐敗と土地接収と開発に絡む横暴に思いあまっての反抗が殆どだ。
●広州暴動
10-11日、広州市の郊外海岸部にある増城市で1000人以上のデモ隊が交通をブロック、警察署を襲い警察の車をひっくり返した。この写真は中国版ツイッターといわれるネット上に投稿されている。25人が逮捕された。
中国南部香港に近い広州市近辺は出稼ぎ労働者のメッカとして世界中の衣料品を製造しているところである。増城市は一名ブルージーンズの首都という。
事件は、給料値上げ闘争や金融引き締め後の給料未払い騒動ではなくて、目抜き通りにならぶ露天商と治安員のトラブルがきっかけである。スーパーの前で露店営業していた四川出身の若夫婦に撤去を命令。とはいえ、露店はたくさんあるわけで、純朴でおとなしいと言われる四川省の女性でも不平を呟いたのでしょう。若い妊娠中の奥さん(20)に治安員は殴る蹴るの暴行を働いた。
●治安員に「みかじめ料」
この夫婦が見回り当局者に「みかじめ料」を払っていなかったため……らしい。ワイロを呉れない腹いせに妊娠腹を蹴るとはなにごとぞ!日頃から鬱憤がつのる同僚出稼ぎ労働者が集団抗議するのは「人間の権利」、当局器物を損壊するくらい当局の犯した暴行からみれば人間の権利からさほど逸脱してはいまい。
●利川暴動と清廉役人Mr ラン
広州暴動を啓発したのは8-9日に湖北省利川市で発生した市の行政府に体する抗議暴動であった。利川市(Li-chuan)清く公正な汚職取締まり役人、そういう人物は希に存在するのですな、この清廉な幹部役人ラン氏が収賄罪で逮捕され死体で家族に引き渡された。暴行された痕があると新華社が伝えた。
MRランは上司の土地接収指令(僅かな補償で土地を接収し、開発企業に高く売って私腹を肥やす)を拒否したために殺されたともっぱらのうわさ。これは汚職を取り締まる職務にある汚職役人がMrランを口封じするために仕組んだ芝居である。報道から推測すると、Mrランは拷問に屈せず汚職尋問役人は殺すというより死なせてしまったのだろう。
2000人の抗議デモの一部は市庁舎を占拠、1000人の治安警察と衝突し負傷者と逮捕者が出た。既に市の役人二人が逮捕され、地元の検察官と市の共産党幅書記が解雇処分を受けている。利川デモが広州デモに伝播し、中東民主化運動の影響もある。さらに6月は爆弾テロが数件、抗議の形が多様化してきた。今年の暴動が昨年を上回ることは確か。
●構造的社会分裂症国家
しかし暴動の対象が地方政府や企業であり、北京の中央政府に抗議デモがみられない。天安門22周年の日の広場は治安警察の姿ばかりだった。地方政府への暴動ならいくら数があっても、北京政権は安泰。経済的恩恵を享受する裕福階級も安泰。ブランド市場世界一と暴動多発世界無比の中国。構造的社会分裂症国家はいつまでも続かない。
(了)