安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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リビア空爆の限界
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〈 2011年 5月 24日 火曜日 )


●Across the Wide Missouri
まず、竜巻被害から:メキシコ湾北方・米大陸初夏は竜巻のシーズン。メガ竜巻がミズリー州ジョプリン市を通過、死者118人負傷者400人を超える単発の竜巻では米史上最大の被害をもたらした。先月、多数の竜巻を発生しながら北上し、死者300人を出したばかり。これをガトリック銃と形容すれば今回は大砲か、しかし東日本大震災のような海水も重油もない家屋破壊、被害規模は比較に成らないケタですから、つい歌が口をつく。

Oh Shenandoah, I long to see you,
Away you rolling river.
Oh Shenandoah, I long to see you,
Away, we're bound away,
'Cross the wide Missouri.

このコラムでも、ミシシッピーの洪水ではOld man River、ハリケーン・カタリーナのときは On the Banks of the Old Ponchartrain(Hank Williamas)を口ずさんでおりました。不真面目にきこえますが、連帯を示すマイウェイであります。

●明けないオデッセイの夜
反体制派を弾圧するカダフィ政権に英米仏を中心とする多国籍軍によるリビア空爆『オデッセイの夜明け』作戦が始まったのは3月20日、2カ月立っても膠着状態が続き、やっとミスラタが落ち、反体制ゴロツキ側が勝利宣言を出したが、人口15万の市街は破壊し尽くされ住民はもぬけのカラ。この調子ではトリポリのカダフィ軍を打ち破る戦争はできない。
フランスはラファール戦闘機、英はステルス戦闘機まで発進させて2カ月、当地ノルウェーでさえF−16ほか計6機をクレタから発進カダフィの司令本部など計300のGSP誘導空爆を行った。

いくら正確に軍事施設や武器庫を攻撃しても,民間に犠牲者を出さない方針では、武器弾薬は市街住宅地に隠せる。トリポリのカダフィ陸軍はほとんど手つかずが実情だろう。民間の犠牲が大きく報じられるが、ミスの範囲内である。反体制派のゴロツキを組織化し、兵士らしく戦闘ができる統率された部隊にならない。そのための人材をベンガジ暫定政権に送り込んだが思わしくない。逆に反体制ゴロツキ幹部はNATOの作戦が遅く、カダフィ軍の民間犠牲を阻止出来ないと批判する始末。

イラク戦争ではバグダッドの政府建物、道路交通網に間断なく砲撃、地上軍の侵攻であっけなく勝敗を決定した。リビアでは米はもちろんEU, NATO各国は地上軍を投入する「戦争」形態にしたくない。今後はトリポリ空爆に英仏がよりピンポイント爆撃が可能な戦闘ヘリを投入する。これで市街地に分散した兵士や軍幹部の居住地、カダフィが移る先々に攻撃できる。ヘリが一度でも撃墜されるとあとが続くでしょうか。オデッセイの夜明けはいつもことやら。(了)





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