安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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欧州、赤字国の明暗
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〈 2011年 5月 22日 日曜日 )


●アイスランド、火山爆発
昨年の今頃、アイスランドで火山の大爆発があった。コラムにしたのですが
噴火口に接近した調査ヘリから空中撮影した映像に爆発の轟音とともに衝撃波が写っていた。衝撃波を世界ではじめて捉えた映像でした。

昨年はEyjafjallajokullアィアフィエルヨークルという火山の爆発で、火山灰が偏西風に乗って欧州に向かい、イギリス、欧州北部の航空便にキャンセルが相次いだ。

昨年爆発した火山から南東に最大の氷河・ヴァトナヨークルがある。この氷河の下にグリムスヴォトンという湖が隠れていてその下に同名の火山がある。土曜日夜、この火山が大爆発を起こし、黒い火山灰がモクモクと15キロの高さまで昇った。しかし、専門家の分析によると昨年の規模より小さいだろうと、観測されている。

また、プレート性地震とことなり火山運動は予測が可能で、特にグリムスヴォトンという湖からの流水が増えてきたとあっては、シロウトでも近々爆発と洪水が予想できる。土曜日の爆発は「アイスランド社会安全局」が昨年10月から注意警報が出されていた。

2004年に同火山による大洪水と火山灰で海岸に向かっての牧草地が全滅した。海岸線の地形が変わり、付近の住民は移転し、牧草地はいまも火山灰で埋もれたままだ。幸い、人的被害がないので、破産国アイスランドは着実に再建途上にある。

●アテネ、給食に長蛇の列
アイスランドに比べ、ギリシャは果して再建可能だろうか。アテネでは奉仕団体が炊き出す日々の皿に長蛇の列が並ぶ。最初はホームレスや移民だったが、いまや地元ギリシャ人が半数の行列である。EU, IMF, 欧州中央銀行のいわゆるトロイカ緊急支援とギリシャの財政/構造改革により見通しを明るくするというが、その気配はいささかも見えず、利息付き借金は確実に膨らんでゆく。

●スペインの若者、大決起
スペインはベイルアウトから安全圏内にいることになっているが、民衆の不満は中東の蜂起を思わせる。日曜の選挙に鑑み、デモ禁止令が出た土曜の夜のマドリード・デモは広場を埋め尽くし、カイロの革命デモの再来と見まがうばかりだ。暴力がまったくない抗議集会はさすが文明国といえる。



スペインの失業率は常に欧州最大でありながら、社会動乱とは無縁でやってきたのだが、いま20%を超え、16−29歳の若年層をとれば45%もある。これじゃ若年層が大多数の中東並みの失業率である。国民には冷淡だが欧州各国政府の緊縮財政は必要である。だが実際面では我慢のコンセンサスが得られる国はありえない。中国の体制でも不可能。国民の不満が忍耐を越え、政府が倒れるようでは元も子もない。耐乏の時代を生き延びるには上から下まで、生活を切り詰めるしかないのだが。(了)





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