●バンビの季節に注意
奈良公園では鹿の赤ちゃんが誕生し、ヨチヨチ歩きのかわいいバンビに観光客は目を細め、写真を撮る。毎年150〜180頭が生まれる。
それはよいのだが、奈良の鹿は傍若無人に行動し、たいへん危険な動物である。鹿とサルは少しでも甘やかすとつけあがってシメシがつかなくなる。
●宮島の暴力シカ
宮島の展望台では、観光客網に網内を歩かせてサルと触れ合わないようにしているが、船着き場から厳島神社への道は暴力シカに悩まされる。一度うっかりベンチで食い物を出したらたちまち鹿どもに取り巻かれ、ひったくりですよ。振り払っても逃げても追っかけてきて、拝観料を払う回廊に来てやっと解放された。山で草葉を食んでおればよいものを、人間が及び腰なのがいけない。善男善女の前でシカを蹴飛ばすわけにもいかず、角のあるシカには向かってくるのがいる。悔しいが逃げるしかない。鹿が人間をナメる原因は人間が作った。
●奈良公園,鹿の適数
奈良公園の鹿も宮島の鹿とおなじ様な反社会行動の鹿が多くなった。我家は奈良公園の近くにあり、早朝ゴミあさりに町内をウロツク鹿の姿をみた。すでに40〜50年前からそんな姿に成り果てていたのである。いまではもっと酷いだろう。芝生で弁当を広げるのは危険、強奪するワル鹿に子供は押し倒されます。
何故こんなことになったかといえば、唯一最大の原因は数が多すぎることにある。奈良公園そのものが戦後から現在に至る興福寺再興や施設の新設にともない芝生面積が約30%縮小した。「奈良の鹿愛護会」は600頭が適数としている。だが小学生の頃、芝生を食べていつも芝刈りしたような公園を保つために300頭まで増やすように保護しなければならない、と教わった。
●野生動物の生息地と適数
現在1200頭のシカが公園区域にいる。適数の倍、小学生の頃教わった希望数の4倍である。多すぎる。食べものを人間から強奪するようになったのは鹿の頭数過密のせいである。新芽まで食い荒らし芝生の消滅、近隣農家の畑荒らし、公園樹木の樹皮,下葉を食い荒らし枯らせてしまうなど、鹿害は深刻だ。都市部のカラスと田園都市の鹿は適数まで民間の協力を得て退治せよ。
これは奈良公園に始まったことではなく、日本中いたるところ落葉樹の森はシカが増えている。春日の鹿は天然記念物になっていて、春日神道の神鹿といえ、1200匹もうろついて人様の食べ物を強奪する畜生を神鹿なんてキレイごとが通用しません。
●我家の庭にも
当地ノルウェーの状況を述べる。欧州ではとっくに消えてしまったエリカ(ヒース)の丘が、当地では100年くらい前までたっぷりあり、エリカが『国花』となっていた。牧草地がまだ今のように整備されていなかった頃、所によってはヒースの丘で乳牛を飼っていた。伸びすぎると茎枝が堅くなるので5〜6年に一度野焼きをして、ヒースの丘を放牧地として使われてきた。
酪農産業が今の姿になり、ヒースの丘は灌木,落葉樹の森に取って代わられた。すると鹿がどんどん増える。日本の鹿と大きさは々でやや毛深く白の斑点が薄い。こいつが農地を荒らすことで問題になっている。
我家は私道の端っこで山の中腹に在り、森に接する庭でシカの糞を見つけた。近所の人は下の住宅街にいるのを夜見たそうです。それほど増えているのでたいていのレストランにトナカイ肉に加えて鹿肉メニューがある。奈良の料亭でもシカ肉を供してはどうか。(了)