安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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死語でなかった「一命を賭して」
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〈 2011年 4月 30日 土曜日 )


土曜日から一週間オスロで生活するので、コラムの更新が途切れそうです。ばたばたする今夜は思いつくまま書き飛ばしておきます。

●歴代首相の決まり文句
菅さんは「一命を賭して復興にあたる」と言った。首相になった人は必ず命をかけて、火だるまになってもなどと仰るが、みなさんあっさり投げ出したり、シブシブ引きずり降ろされたりでほんとうに命を落とした人は誰もいない。小渕恵三氏は病気で大平正芳氏は心不全による急死。任務に命を落としたわけではない。

●シリア蜂起の深い根
選挙運動でもおなじみの政治家の言う「命をかけて」ほど、浅ましい言葉はない。ところがシリアの反政府デモはそうではない。治安軍の武力弾圧に抗議運動は連日、撃たれても殺されても街を行進する。すでに6週間死者は500人に達した。ついこのあいだまで、レバノンに浸透しイスラエルを脅かすシリアのヒズボラはアサドが黒幕!と米は制裁を課してきた。シリア非難にレバノン市民はアサド政権を支持し反米一色だった。リビア、エジプトでも自由の風が伝染するついこのあいだまで、国民は米を罵しってきた。その愛国市民がアサド打倒に一転したのである。それも文字通り「死を賭して」向かっていく。

●逆進もある歴史の歯車
ムバラク、カダフィ、サレハら長過ぎた独裁政権と同じく、シリアではアサド一族が40年も人口の大半を占めるスンニ派を強権支配してきた。その「怨念」の深さは、体験していない我々が理解できる領域ではない。シリアで、イエメンで渦巻く前世紀的な「圧政下の民衆蜂起」は、歴史の歯車に委ねるほかないのではないだろうか。

オバマ政府は一部にムスリム同胞団の煽動があり、それならアサドの方がマシと思う所があって行動を起こさない。追加経済制裁を決めただけである

リビア蜂起は結局鎮圧されるのではないか。反体制分子の逮捕、消息不明といった深刻な恐慌政治に進むことも考えられる。一方、29日各地での金曜デモにより60数人が死亡したが、治安軍にも9人の死者が出た。デモ側も銃を使うようになり、事態は内戦の様相を呈してきた。当然だが政権内部では離脱、発砲命令に従わない兵もいて治安軍の内部で動揺がある。歴史の歯車はちょっとした弾みで早くなるか逆に回るか、見当がつかない。

●姿を見せないアフマディネジャド、憶測を生む
イランでは最近アフマディネジャドが姿を見せなくなった。パワフルな情報相のすげ替えにハメネイが反対しアフマディネジャド大統領が孤立、先日あった閣僚会議は副大統領が議長役を努めたという。ライブでTV演説しようとしたら、録音にさせられたなど、最高指導者ハメネイ師とアフマディネジャドの権力抗争が進行中らしい。来年はイランは総選挙の年、シリアの情勢次第で、ハメネイもあアフマディネジャドもみな転ける大化けがあり得る。(了)





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