安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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聖金曜日のバチカン・スペシアル
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〈 2011年 4月 23日 土曜日 )


●雪がたりない復活祭の山
今週木曜日から月曜日まで復活祭の休みです。こちらは急に10度も暖かくなり、今年は何十年ぶりかの遅く巡りきたイースターを家でのんびり、今日はベランダで寝そべって日光浴しておりました。北欧今年の山は雪が少なく、高原ホテルは空き室が多いらしい。地中海など南へ行く人がやや増え。人口の12%ぐらいにあたる50万人が国外ヴァカンスである。

●震災少女エレナちゃんの問い
Good Friday(聖金曜日)に法王が視聴者の質問に答えるイタリアTV番組があった。事前に世界各地から選んだ質問者と質問を放映し、ライブではなくて編集したものだからハプニングはない。選ばれた6人の質問者のトップに日本人で震災を体験したイタリア系少女Elenaちゃんが(7)「ものすごく揺れて、たくさんの子供が死にました。なんで子供がこんなに悲しい目に遭わなきゃいけないの?どうしてわたしは地震とツナミに苦しむことになるの?」といような問いを投げかけた。

TVを見ていた人は驚いた。法王が質疑応答するなんて前代未聞、あの地震とツナミとフクシマ原発の国から、しかも宗教的には答えようのない「どうしてわたしなの?」である。

●法王ベネディクトの模範回答
法王の答えは "I also have the same questions: why is it this way? Why do you have to suffer so much while others live in ease?

"And we do not have the answers, but we know that Jesus suffered as you do, an innocent, and that the true God who is revealed in Jesus is by your side."

この言葉は、銃乱射や巻き添え事故などの犠牲者にキリスト教会が贈る定型化した餞(はなむけ)の言葉である。疑問を共有し、コンパッションを示すことで教会も傷つかない。法王の側にある会場の視聴者は安堵し、盛大な拍手を法王におくった。Elenaちゃんが納得したかはどうでもよいのだろう。一面非常に空疎である。

●バチカンの世界戦略
80分に渡るIn His Image ミ Good Friday Specialと銘打ったTV番組は、聖職者に限らない法王以外の回答者が時間の大半をバラエティー式に見せる。質問者には依然として南北に分かれて宗教紛争が歪み合うコートジュボアールからムスリム女性、バグダッドのクリスチャン女性が選ばれ、バチカンは世界各地で起こる社会的政治的問題にメディアを使って関わってゆく姿勢を示した。現代に適応するバチカンの世界戦略に現法王は積極的とみた。(了)

註:In His ImageのHisはイエス・キリストを指す。





Pnorama Box制作委員会

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