トモダチ作戦のP.ウォルシュ米太平洋艦隊司令官が昨8日、横田基地で記者会見で日本政府の福島原発に関する情報提供について「データは透明性が高く、重要なものだ」と評価した。(読売新聞4月9日)
●風評を生み出した50マイル圏
米国で原発事故があった場合、原子炉が爆発すれば別だが緊急避難域は10マイル/16kmである。日本は20km/12マイルを避難退去圏とし30kmを屋内退避圏とした。この初動措置は間違っていない。そこへ3月16日米政府は在日米国人に50マイル隔離指示を出した。自国民を護る大義にかまけて自国の基準を無視したパニック的措置であった。
●異文化への理解と想像力
そもそも米政府に50マイルを進言した米原子力規制委員会(NRC)は相方である原子力安全保安院のツタない説明を理解し、リスクの予測と対策を聞き出す想像力がなかった。映像からリスクを判定したに過ぎない。一方、トモダチ作戦の日米合同海上捜索は日本の30km圏外を選択。冒頭の引用は理解力と想像力を培った司令官の選択を示している。
●風評被害1、外人エクソダス
さて、日米の見解が相違したとき、どちらを信じてよいのだろう。いうまでもなく中国人をはじめ外国政府と先進国外国人はこぞって米に追従し、日本エクソダスを引き起こした。関西へ移動したり帰国するのは自由だが、彼らにパニックを引き起こした米政府の見解に科学的根拠はなかった。風評被害「その1」である。
●風評被害2、政府不審と買いだめ
わが国では脱出する外国人を見て動揺し、薄情なヤツと思う反面アメリカは本当のデータを独自に収集している。あるいは日本政府から知らされているのではないか、国民には真実を隠蔽しておいて!買いだめに行列する。風評被害「その2」である。
●パニック反省の芽吹き
地震と津波の日から3週間、4週間たっても破局にいたらず封じ込めが継続されている最近、米専門家の間で「日本の専門家をもっと信用してよかったのではないか」という反省の気運が出てきた。
ウイスコンシン大学工学物理学部学部長マイケル・コラディーニ氏は「23年前、日本がスリーマイル島原発について(独自の)計算をし、50マイル圏内のすべての日本人に避難勧告をしたなら、われわれはどんな反応をしただろうか」と問いかけた(WSJ 日本版)。(了)