●貞観地震
865年に起こった幅広い震源域による「貞観地震」が、このたびの東日本大地震の再来である。と、指摘する地震学者のコメントが出始めた。被害直後の抑制した態度から、批判が出るようになったことを歓迎する。
先週始めに当地ベルゲン大学で、地震,放射能、日本の政治、日本人の沈着な地震対応についてその文化的背景、当地赤十字の支援活動等各方面の専門家を講師にセミナーがあった。その際、地震学のprof. Atakanが今回の津波を引き起こした大地震は1000年に一度の規模、特に同地域で起きた1100年前の貞観地震(推定Mg8)に言及していた。あとで年表を調べると前年に富士山爆発とある。
世界中の地震やさんたちはデータの豊富な日本から学ぶ所が多く、知日・親日派が多い。もちろん公正な科学者として事実を曲げたりはしないが、Atakanさんは何度も訪日、日本の知己も多く日本の学会にも詳しい親日さんである。彼は淡々と述べたに過ぎないが印象的でした。放射線学者も概ね公平で口には出さなくても親日である。
●科学者vs ジャーナリズム
昨日、3号機の作業員二人が被爆し病院に搬送された件で、通常の10万倍という放射量をBBCのちょっと血の上った女性アナ(以前、J.ボルトンが「意見を聞かずに討論するあのインタビュアーをBBCは馘首すべし」とBBCTVで怒鳴った件の女性アナ)に放射線学者が辛抱強く溜り水の状況を説明、空気中の放射線は一定しているというのだが、アナは信じない様子。海外メディアはレポーターとアンカー、原発評論家が事態を煽る。
●ドイツ、反原発のツナミ
ドイツでは福島原発の危惧から26日、ベルリン、ハンブルグ、ミュンヘン、ケルンなど全国で15万人規模の反原発デモがあった。旧原発の3ヶ月全面停止と総点検をいちはやく打ち出したメラケルだが、曾てないアンチ・核電力のデモを引き起こした。メラケルの与党CDUは原発のあるバーデン-ヴルテンベルグが70年来の地盤だが、近い選挙で緑の党と社会民主党が躍進するといわれている。
ドイツでは大地震を経験したことがなく、津波は絶対こないけれど、気候変動によるのか大水害は年ごとに増え、テロの危険や人的捜査ミスなど、原発事故は常にあり得る危険と考えられている。スウェーデンでも見直し論が盛んになった。代替エネルギーに可能性を見いだしているからできることであって、日本は政権を問わず電力業界と政府が一体となって原発を推進してきたため、代替エネルギーに国家としての取り組みが弱い。
尚、当地ノルウェーは原発がない希有な国です。それで電力不足のときはスェーデンとデンマークの原発から電力を買う。姑息とは言わないがイビツだ。(了)