●異常警戒、天安門の亡霊に憑かれた中国
チュニジアのジャスミン革命に呼応して中国で起こった茉莉花(ジャスミン)革命の集会は集合場所を制服,私服,偽装当局の警戒で集まらなかった。それにしても中国政府の警戒ぶりは度を逸した異常体制である。
一方で中国は国連安保理でリビア制裁決議に賛成したではないか。この決議かなり強烈、国際世論の反発が国内に及ぶのを怖れるあまり、リビア民衆支援の措置にナリフリかまわず賛成せざるを得なかった、と見る。
●チュニジア、二歩前進一歩後退
震源地であるチュニジアは、ベンアリ逃亡後の暫定政府首相として首相ガヌーシが引き継ぎ、閣僚を一新して理想的な移行と思えた。わたしはそう思っていたが、前政権の人物は容認しない若者の重なる抗議に27日辞任してしまった。ベンアリの前のブルギバにいた年寄りが任命されたが、ブルギバもベンアリも同じ穴の狢(むじな)でしょ? 混乱から平常に戻るまで幾多の試練が待っている。
●エジプトでは
次はムバラクを引き下ろしたエジプトでどうなりますやら。いまのところは軍評議会が若者と対話路線で落ち着いてはいるけれど……。いま憲法改正草案(大統領選挙の条件・任期など)ができて周知の期間だが、国民の反応はもうひとつ。改正条項は当然、喜ぶほどでもないといえ、チュニジアのような揺り返しが来ないとも限らない。アラブ連盟事務局長・ムーサが大統領戦に出馬すると名乗り出た。西側に最も嫌われている人物だ。この人の頭はムバラクと同じ中味、抗議の主力であった青年インテリは不支持にまわるだろう。
●袋の鼠カダフィ
カダフィの側女(そばめ)みたいなウクライナ女性兵士はみな国外に出たとの報道。戦(いくさ)にゃ役立たないわな、カダフィはいまそれどころじゃない。傭兵補給が不可能になったので支持派の市民に武器を与え、トリポリ中心部を抑えているが、所詮袋の鼠だ。あと何百人の犠牲者を増やして果てるか、厄災男メ。西側は生け捕りしてICCで裁きたい意向。すると小和田恆さんが裁判長になりますね。日本政府はイスラム不穏の蚊帳の外ですから、しがらみなく却ってよろしい。
●異民族支配に隷属したイスラム2000年の歴史
イスラム2000年の歴史で今はじめて民衆の意を反映した独立国への道が開けた。奇異に聞こえるが、歴史地図をお持ちなら見ていただきたい。北アフリカから中東イスラム圏はジンギスカン、オスマン・トルコ、タタール、英国を初めとする列強の植民地、そして部族長(王族)を据えて線引き国家が誕生したが、王族とクーデターによる独裁者のイスラム国家である。在民主権の独立国はどこにもなかった。いまそれを覆す波が押し寄せている(了)
おまけ:華やかなンターテイナーであったカダフィの事前追悼に、Gadhafi fashionはいかが:http://abcnews.go.com/International/slideshow/gaddafi-fashion-years-12966270