安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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クーデターではない
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〈 2011年 2月 16日 水曜日 )


●当事者のだれもクーデターと思わない
ムバラク引き下ろしを軍のクーデターとする見方は、軍が政権を預かればクーデターといういい加減短絡な先入観による。実体をしっかり見ましょう。抗議の中心であった高学歴若年層、呼号して職場ストライキを打った労働者、反体制組織のムスリム同胞団シンパが軍の暫定統治による民主政権移行を歓迎し、クーデターと思っていない。参謀も兵隊もクーデターとはおもっていない。

国家元首となったタンウィ国防相が議会を解散すると、たちまちクーデター論評左派系特派員のあいだに流行する。抗議の中味はムバラク辞任と,ムバラク与党の排除であり、当コラムでは >ムバラクの与党が解体するであろう< と12日に書いた。実はこれを書き送った数時間後に、軍がアドバルーンのためか現議会を継続すると言い出したが、折り返し強い抗議にあって議会解散を決定した。軍が独裁するため解散したのではない。

●公平な改憲委員の人選
さて、軍最高評議会が発表した改憲委員の顔ぶれを見ると、といっても肩書きと解説での印象ですが、公平でバランスのとれた人選に思える。ムスリム同胞団からも一人メンバーに加わっているのは国民投票で賛成多数を得るためだろう。党の合法化はメンバーに入れなくても避けられない。

ただ、10日以内に草案を作成し2ヶ月以内に国民投票で決める、というのはどうだろう。日本国憲法は占領軍が一週間で草案作成し、現在も「使用中」であるところからして、ながながと呻吟し愚図らなくてよい。日本と違って時代とともに不具合が生じれば改訂するのが諸国の慣しだ。

●新憲法草案を10日で作成、可能
ムバラクはサダトの作った社会主義的憲法を資本主義的にあらため、選挙法、大統領の複数候補など34条もの修正を行った。一見、大変民主化改憲のように見えるが実施に難点のある条文で、2007年のこの採決のとき、454議席から100人が退場したイワクつきの改悪である。ムバラク自身,辞任前に四つの条項を修正し一条を排除すると約束したが,不充分なうえ時既に遅しであった。

軍評議会が不具合な条項を手直しするだけなら5日も要らないので、ま、10日あれば草案作成は可能。

警官や公務員が賃上げと待遇改善を掲げて街頭デモを行っているが、不穏ではない。これまでのポスト・ムバラクをオバマは正しい方向に混乱なく向かっていると言った。この点ではオバマに賛成です。(了)





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