安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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往生際の悪いムバラク
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〈 2011年 2月 1日 火曜日 )


●強制起訴になった小沢さん
小沢一郎元代表が強制起訴されたということは、検察が起訴したのではないが、検審だって疑いが払拭できないからウヤムヤにできない理由があり、無罪は難しいだろう。軽い罰でも有罪を覚悟あれ。どっちにしても党内のゴタゴタもこれで解(ほど)けた求心力がスッキリしますね。民主党崩壊がはっきりします。

●往生際の悪いムバラク
エジプト騒乱はいまが最高潮。居座るムバラクは今年予定の大統領選挙まで厳戒令下におき、選挙を延期してでも居座るつもりか。30年の独裁者が82歳ともなれば往生際が醜悪になる良い例だ。新内閣を発足させたが、国防相は続投、初めて置いた副大統領のスレーマンは反政府分子の粛正拘束の元締めだったムバラクの右腕側近である。財政金融経済方面の閣僚は一掃され、国家統制経済に向かう陣容である。チュニジアの反対だ。

いま市内要所に戦車を配置された軍は、チュニジアのように忽ち民衆側に立つわけではない。ムバラクが給与面で優遇しているので兵士に政治不満が少ない。ネットとケイタイを無効にし、外出禁止令がでているが市民は公円や歩道にテントを建てて、ウクライナのオレンジ革命のときを思い出した。こうなってはどんな政府もおしまいだ。月曜日、軍は集会、デモには発砲しないと公式に声明を出すに至った。

●動きだしたチュニジア新政府
チュニジアの若者デモは一般市民の支持が得られず、民主的な新政権が動き出した。物価や失業率はあいかわらずだが、ダボスに金融財政のトップたちが来ている。銀行は業務を再開し、経済活動は通常の戻ったという。


一方、エジプトではドル箱のスエズ運河が閉鎖され、オイルタンカーが大打撃。ために原油価格が急上昇、あっという間に100ドルを越えました。エジプト経済はスエズと観光の収入が途絶え、外国企業は撤退する。ドサクサ紛れに放火・商店略奪が横行する。ドサクサに関して、阪神大震災の際、人気のない商店ですら略奪されず、被災者が銭湯に行列する風景に世界中が驚嘆した。そんな人種は日本人だけですぞ、海外旅行の際には肝に銘じて行動されたし。

●野党・イスラム同朋は進歩的
エジプトでは大学は出たけれど就職できない高学歴者が45%もいる。彼等が率先して抗議を組織化しようとしている。ムスルム同朋は野党第一党といってもスエイマンに足腰折られ、幹部は大方収監されたり骨抜きにされていてとても政権担当の能力はない。そこで暫定的にエルバラダイを恃むことにした。本来この政党はイスラム原理主義だが、民主化を打ち出すとムバラクに非合法化されるので便宜的でいい加減な主義だ。イランやヒズボラと蔓んでいるとの懸念は憶測にすぎない。

さて、国際論調もいい加減なもので、ムバラクが倒ればイランのようになると心配し、米欧ともに民衆の正当な民主抗議を師事すると言いながら、8000万人のアナーキ国家誕生を怖れ、ムバラクのセーフティー・ランディングを望んでいる。

●見る前に跳べ
わたし思うに、歴史には後先を考えず一気に動く時がある。「見る前に跳べ」、いまはムバラクご一家と断絶することが優先される。あとはエジプトの国民を信頼し任せること。ムバラクを兵器と財政支援で生かしてきたアメリカ、ムバラクと組んで地中海を制覇しようとしたサルコジなど、米欧嫌いのエジプト政権がポスト・ムバラクにできることは確か。しかしイラン形になる杞憂は不要。(了)





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