安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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トゥーソン乱射事件の責任論
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〈 2011年 1月 12日 水曜日 )


このところ家を空けてオスロに居ることが多く、昨日帰ってきたが13日にはトンボ帰り、20日から2月上旬まで家内とオスロ再び住まいになります。オスロは娘の家ですが私の仕事場も作ってあり支障はない。それでコラムも自由に送れるのですが、どこかリズムがちがってその気にならないのだな。そんなわけでコラムは忘れた頃にボっと更新しますのでチェックよろしく。

●乱射事件のない日本
アメリカでは依然トゥーソン乱射事件が話題になっている。考えてみると日本国内では銃を乱射する事件の記憶がない。銃規制の効果である。日本赤軍がテルアビブ空港で乱射した事件があったが、あれは国内ではなかった。わたしが当地に移住した翌年1972年に起こった事件でした。キマジメだった私がなぜか肩身狭く済まなそうにするのを同僚に笑われた。それでよく覚えている。

●トゥーソン乱射の責任はペイリン?
事件の遠因が刺々しくなった政治状況、政治家の荒ぶれた発言にあるという。乱射の犯人を煽ったとされ、サラ・ペイリンがその標的になっている。オバマは「党派もない一つのアメリカを目指す」と言うものの実際には国民をスプリットした米史上最たる大統領である。共和党は憎しみにみちた発言を辞めるべきとポール・クルーガン。いまや同様の趣旨は米のコンセンサスと言える。

●議員による言葉の殴り合い
米議会においては殴りあい乱闘するシーンは見ないが、たしかに言葉の殴り合いである。議会討論はもとより、言葉遣いを抑制すべきであろう。民主党左派が乱射事件は共和党に責任がある等と叫ぶのはサラ・ペイリンの喧嘩腰の率直さよりもっと悪い。

●乱射犯と社会的政治トーンの関連性
客観的にみてワシントンの政治状況がギスギスしていることと、挑戦的な言動の民主党のガブリエル・ジフォーズ下院議員を狙った事件と関連があるのか、ビル・クリントンはあるという。小生はおかしいと思う。犯人に政治的モチベーションがあればついでに無差別に乱射するなんてことはありえない。犯人が法廷でいかに正常な証言をしても精神不安定・異常者であることにかわりない。事件はオクラホマ・シティーアリゾナの乱射事件と同様、一人の異常者が引き起こした孤立した事件である。それゆえ殺人、殺人未遂など五つの罪状にテロリスト条項は含まれていない。アメリカではテロ組織のメンバーでかつイスラムであることがテロリストの一般的定義である。Loughnerは白人だから合致しないのだろう。

●神妙な反省心は益のない一過性
過去4人の米大統領が暗殺されている。ジョン・ケネディ以後米大統領の暗殺事件はなかった。ロバート・ケネディ以後、閣僚や議員の暗殺事件もなかった。今回の事件はこれら過去の繋がりからみれば米では珍しくない。

米では乱射事件があるたび浮上する銃器規制や、反省著しいおもわしくない政治環境も束の間に忘れ去られる。一過性の神妙な気持ち得られることは何もない。(了)





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