安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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米財政再建報告書The Moment of Truth
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〈 2010年 12月 2日 木曜日 )


今日から一週間オスロへ、昨日のオスロは零下15度より低い厳寒で地下鉄脱線や信号機異変があり、空港列車も動かなかった。北欧の空港は寒さに慣れているのでロンドンのような飛行便キャンセルや空港封鎖はないといえ心配なことです。

●耐え忍ぶ良心
昨日水曜日、米「財政改革委員会」が最終案を発表した。The Moment of Truth と題された59ページの報告書である。米政府が抱える1兆3000億ドルの財政赤字+経常赤字13兆8000億ドルをどうやって削減するか、軍事経費の大幅カット、年金受給年齢の引き上げ、オバマが成立した名誉の法案メディケアとメディエイドの縮小、連邦政府職員10%の削減、年間納税額は平均1700ドルアップ、等々この計画で2020年までに4兆ドルを削減するという厳しい内容である。国家政策を良心が画した見本といえる。

●議会に送るマンデート不足か?
理想的厳しい提案であるが、オバマが任命した超党派議員と有識者の委員会である。オバマは遂行する意思があるが、いまは委員会の承認を待つとのスピーチを行った。しかしどうも委員会で承認される14/18人の賛成が得られない気配である。承認されなければこの提案は大統領にも議会にも送られじまい、オクラ入りとなる公算が高い。

●雇用増大と景気回復を先行する傾向
FBRのベイルアウトはまたも金融界とトップ業界の益となっただけで雇用に殆ど変化はなかった。クリスマスを迎えて勝ち組企業は盛大ボーナスを支給し豪華おふざけパーティーで新年を迎える一方で、失業保険の期間延長に生活がかかっている家族のなんとおおいことか。学費をカットされたらを進学させてあげられない。養育制度の充実はオバマのプレスティージであったゆえにおいそれと削減出来ないだろう。

欧州と異なりアメリカでの財政カットは雇用増大と景気回復ほど重要ではない。イギリスがやった奨学金カットは学生の猛反対にあい、厳寒のロンドンがデモと警察の衝突で騒然となった。破産したアイルランドがEUとIMFによるベイルアウトの条件として呑まされた財政カットは米財政改革委員会お提案よりはるかに厳しい。スペインやイタリアは大きすぎて支EUは支援出来ないため、それぞれ政府が知恵を絞って支出カットに励んでいる。フランスは数百万のデモにもめげず年金改革を押し通した。

●米FBR「グローバル金融緩和」の罪
ところが米は社会問題と財政赤字は関係ないと反対する議員などもいて、超党派委員が決定した財政再建プランではあっても国民は背を向ける。この2年の金融危機において、FRBが世界の銀行に融通した「グローバル金融緩和」のため危機の全責任を負うべき金融行がタダで立ち直り各国メインストリートは回復したが、社会経済は置いてきぼりにされてきたのである。(了)





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