安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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憲法は各法をオーバーライドする
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〈 2010年 11月 10日 水曜日 )


●国民の知る権利
尖閣諸島、中国漁船衝突のヴィデオがYouTubeに出回った。これに対する政府の対応は「極秘資料流出」と捉え犯人探しに血道をあげている。本末転倒だ。憲法で保障された「国民の知る権利」との兼ね合いが議論されているが、解釈を論じるまでもなく,憲法は他の法律をオーバーライドする。それが憲法というものだ。

ヴィデオ流失の件については、国民の知る権利が国家公務員法に基づく秘守義務をオーバーライドする。国民的な関心事である真相を捜査中の証拠公開を禁止する法規を盾に、政府が国民に公開しない権利などない。菅首相公開しなかったことを謝罪すべきところを流失に謝るのはお門違いである。情報管理の危機を非難する自民党も同様にお門違い。

●健全な情報流出もある
機密情報の流失は今日の慢性病、いくら厳しくしても種々の理由でリークする人間がいる。過去にはウオーターゲート、アブグレイド、グアンタナモがあり、リーク/公開した者は罰せられていない。アフガンおよびイラク極秘情報をリークした者20人が訴追されたが、ネットで公開したウィキリークスのJulian Assangeは、米から嫌がらせが耐えないが訴追されていない。かりに米法廷に持ち込めても有罪になるか不明のうえ、国際法廷に上訴されれば無罪が堅いだろう。

●国境を越える普遍的人権
言論の自由は、もちろん名誉毀損や侮辱は国により異なるが、国境のワクを超えた普遍的人間の権利である。ある国の虐殺を世界が非難するのは内政干渉ではない。ある国の政治犯釈放を求めるのは内政干渉ではない。この権利を放棄する国は言論統制国家とおなじ穴のムジナといえよう。都合の悪い情報を秘密にする政府と、その国民関心事をリーク公開する公務員のどちらが国家反逆者か。たとえ政府が倒れようと、外交にも国民の総意を反映するのが民主政府の務め、事なかれ主義は不成熟国家の食い物にされるのがオチ。

グーグル日本法人にたいし記録押収したそうだが、特定出来たところで既にダウンロードコピーが数カ国に増殖した現状には無力。秘守義務の罰則が軽いことから仙石官房長が妙な予断を発言している。行き当たりばったりの根回し頭が考えそうな次元。ごめん蒙りたい。

民主党政府は公開せず犯人を罰することで、ちょうど船長を釈放して謝罪する如く中国に阿る姿勢一途で中国を宥めている。しかも五年後に民主党の判断が正しかったと認められる? この負け惜しみ政府が早く退陣することを期待する。(了)





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