●パロディトークショウに出演したオバマ
11月2日まで残された日はわずか、米中間選挙に誰を投票するか未定の有権者が予想をひっくり返すことができる。民主党大敗も、善戦もこれら迷う人と無党派層(約25%)の決心にかかっている。予想では下院は逆転して共和党が多数、上院は改選議員数がすくないので民主党過半数はかわらないというもの。
カリスマがすっかりはげ落ち等身大になったオバマがジョン・スチュワートのThe Daily Show に出演。面白くてもためにならないパロディトークショウに出て、選挙に役立つ下心でもあったのか? そうだとしたら民主党候補者には迷惑だろう。痛い所をチキウチク突かれてなお、
"When we promised during campaign ',' it wasn't 'change you can believe in' in 18 months," "We're going to have to work for it."
大統領選「change you can believe in」とキャンペーンをはったが18ヶ月たって「チェンジはなかった」「これからちゃんとやりますよ」
と言って拍手と笑いを誘った。このあたりはただ者ではない。
●ヴィジョンが現実にみえる酔狂
ブレアが振り返って回顧録やインタビューで話していることだが、行き詰まった現状を打開するヴィジョンが政治指導者と国民が共有し,素晴らしい未来を信じて一方向へ進む時代がある。サッダムを放逐しイラク民主化のために開戦したとき私も国民もそうだった。9.11を体験した米はもちろんである。(開戦時、米の支持率は90%以上)
おなじフィーバーがオバマの大統領選挙で興った。オバマ自身も80%の支援した国民80%も浮かれすぎ、つまり98年のアメリカは国家を上げて酔狂したといえる。
●イラン、イラク、アフガニスタン政府に手も足も出ないオバマ
横浜APEC来日を機に「日米安保共同宣言」菅直人首相と並んで発表する手筈をキャンセルしたのはオバマらしい。反米渦巻き、共同作戦ができないパキスタン軍に20億ドルを4年間で提供する。昨年までの4年間に計10億ドルだったので倍増だ。議会の承認が得られそうにないめちゃな金額をアフガン戦争地政学から札束で顔を叩くように腐った政府を黙らせる。これもオバマらしい。
昨日、カルザイはイランからヒモなしキャッシュ支援を受けて得々と「イランは良き隣人」と米人が一番多い国際記者団に喋っていた。カルザイには米が身を切るような軍事とお金で物心両面の援助を何年も続けてきた。それなのにウラン濃縮作業を開始した「ならずもの国家イラン」から、嬉々としてキャッシュを受け人的交流も盛んにするという。米は遺憾の意を表したと私はまだ聞いていない。オバマらしい素通りの術である。
突出した米軍事予算を来年度からカットしたのは来年夏にアフガン撤退をなにがなんでも絶対に実行するため。十分に尽くしました、あとは野となれ山となれである。フランスは来年の撤退を言い出したが、米を助けているだけと思っているから当然だろう。イギリスも後に続き、ISAFメンバーの欧州勢はアフガンに残る理由がない。
●中東撤退後は親米湾岸国を武装して包囲
オバマは反米を強める中東から撤退した後、米に危険がおよばないためにサウジを中心とする裕福な親米湾岸国にかつてない大量のハイテク武器600 億ドルを輸出し、当面イラン、シリアに威嚇で対応する。次回はこのオバマの中東包囲政策について書く。