●フランス暴徒最後のあがき
先日のコラム、フランスデモ、高校生と便乗若者過激派が翌日も勢を増し、サルコジは治安軍を出動、交通が半分マヒしたこともあって上院の年金改革法案採決は翌日のきょう21日に延期された。
●英、戦後最大の財政カット
英保守党政権が緊縮財政を打ち出すことは選挙公約のうち、わかっていたが大鉈カットはハンパじゃない。戦後これほどの財政カットはサッチャーもやらなかった。81ビリオンポンド(約115兆円)といってもピンとこないが、省庁平均19%削減、国防軍事予算もだ。あるいはGDPの70%といえば想像がつく。今後4年間で実施する巨大事業仕分けだ。今後4年間の主な仕分け先は:
社会保障から −£7b、
公的年金の掛け金をあげて+£3.5b、
年金支給年齢を2020年から66歳に引き上げ、
鉄道乗車賃3%をインフレに上乗せ、
高等教育費用を40%、スポーツ振興費用30%削減、
BBC放送予算を16%カットなど。
財務省のオズボーンが議会討論で発表、影の内閣労働党のアラン・ジョンソンとのやりとりを実況でながながと見る。オズボーンは若い。財務大臣は英国でも各省大臣を納得させるゴードン・ブラウンのようなヴェテラン政治家のポジションだった。で、労働党政権の財政支出によってEU内最悪にして米より悪い率の赤字財政国になったので、緊縮財政にはキャメロンの保守合同政権はしがらみのないフレッシュ大臣を起用した。
財政建て直しが基本
さて、これらの措置によって約49万人の公務員が失職する。なかでも警官が最も馘首されるという見通しだ。オズボーンは「困難な道だがベターな未来に導くIt is a hard road, but it leads to a better future」と胸をはり、ジョンソンは「市民の暮らしをギャンブルする無謀reckless gamble with people's livelihoods」と応酬。ギャンブルとは緊縮財政が景気低迷を招き2番底に落ちる危惧、大いにあり得るが,わたしの見方は2番底になってもいいから財政を立て直せ、である。財政出動が経済界と建設業界を潤し、失業率や底辺の底上げに役立たないのは米オバマの巨額救済措置の結果からあきらか。経済政策は健全な国家財政から生まれる。テクニカルな経済浮揚策は更に悪いバックラッシュを被る邪道。なんど同じ苦い経験を経ても市場にカンフル投入を期待するのが人間のサガ、やはり抗議デモがおこるだろう。(了)