安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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チリの人間ドラマ
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〈 2010年 10月 15日 金曜日 )


●メディアが押し寄せる人間ドラマ
チリ落盤事故の鉱夫たち33人の救出劇がおわりました。ヒヤヒヤしていたわりにはあまりにも順調にみなさん立ちすくみの格好でひとりずつカプセルに入って釣り上げられた。地上で待ち続けた家族、恋人、子供とヒシと抱き合う姿は、本物の人間ドラマですからTV各社は実況中継をやる。当地ノルウェーでも国営ニュース局が夜通しです。欧米ではどうして善意のハラハラ救出ドラマが好きなのだろう。サンホセ鉱山にメディアが200グループ、記者音声カメラさんが1000人ですと。ま、最高のエンターテインメントではある。

● Chi-chi-chi/Le-le-le/Los mineros de Chi-LE!
これはチリ史上後も先もない最大のイベントにちがいない。右も左も貧富も上下もしばらく消えて国民は一体感に酔いしれている。上の小見出しは鉱山でも都市でも人々があげる歓喜の叫び「チ、チ、リ、リ、チ・リの鉱夫」。
そういうときに水を差す言動は控えるべきでしょうな。と思いながら無難なことどもを書いてみよう。

●南米におけるチリの人種的優越
チリはピノチェ軍事政権の後、民主主義緒が機能し、貧富の差は激しいが南米にしては政治経済が安定している。南米一の先進開発国というわけ。白人人口比が高く、彼等は他の南米人と一緒にするなという態度がある。ピノチェ政権からの難民が当地に非常に多く、彼等を見ているとそう思わざるを得ない。中東北アフリカ移民とつきあわず,居住地を共にしない妙な自負があるのですな。国民が危険を感ずるチリではなくなったが、どうして帰らないのだろう。

●炭鉱と銅鉱
それはさておき。事件の鉱山は銅を採掘していて、チリの鉱物は輸出の20%にのぼるところから、鉱夫はもちろん肉体労働者だが稼ぎは平均より悪くない。9人目に63歳の鉱夫が生還した。「お爺ちゃんもういい加減に穴に入るの辞めて」という家族の願いを聞かずに坑道に入るのは気力もさながら、銅鉱だから塵肺にならないのかもしれない。炭鉱なら20年働けばマキシマムだ。塵肺でゼイゼイ肺が冒されて長生き出来ない。中国の炭鉱は最悪環境にある。

●団結を維持したリーダー
救出チームが6人降りてサポートしているが、33人のリーダーは最後に避難する船のキャプテンよろしく最後にあがってきた。この男は大統領より押しがある。全員への食料品の分配までこのリーダーがやったという。全員が心身ともに健康でいられた一因は信頼されるリーダーの存在が大きい。

●金で縺れる三角関係
いろいろな人生ドラマが語られたなかで面白かったのは男前の三角関係、愛人と一緒らしいが、カプセルから出て最初にハッグした女性は例の愛人ではなく恋人らしい。別居の妻が突然現れ、解説に曰く:生還鉱夫たちは金一封を与得られ,その気になればメディアに出て稼ぐことができる。別れた妻はそのお金が目当てです。かくして男前のドラマはどうなるか.(了)





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