安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ノルウェー制裁に躊躇する中国
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〈 2010年 10月 11日 月曜日 )


●ネットの威力
昨日曜日午後、劉暁波夫人の劉霞さんLiu Xiaが友人にツイッターとE-メール送った。警察の車に乗せられて錦州の刑務所に行き、夫と面会したときのようすを知らせた。劉暁波は民主化運動をインターネットを通じて世界に広げたのであり、昨日の夫人のE-メールも中国公安が気付いた時には「時既に遅し」、以下の内容は瞬く間に各国メディアの知るところとなった。

「同志、家に帰ってきました。私は我家に軟禁れています。同志と今度一会えるかわかりません。劉暁波と面会しノーベル平和賞を授賞したことを知らせました。私にかわってこのニュースを広げてください」

そのほか、劉暁波は監守から授賞の知らせを聞いていたこと、夫人が国際世論の高まりを知らせるとワッと嗚咽、賞は天安門の犠牲者に与えられたものだ、と語ったことなどをニュースで伝えれられたとおりである。

中国がいくら報道官制をしいてもムダ。一度取り上げた劉霞さんのケイタイだがいつのまにか仲間から差し入れられていた。これは建物に入れるおなじアパートに住む住人とか、家庭訪問できるソーシャルワーカーを通じて、メモや小物が往復できる仕組みという。

●制裁を躊躇する中国
今回の授賞は発表の一週間前に最終決定し、あらかじめ発表数日前にノルウェー外相から中国の楊潔チ外相に劉暁波に授与されることを知らせたいたので、中国首脳が知ってから一週間になるにもかかわらず、未だにノルウェーになんら制裁が行われていない。唯一は在北京大使をよび、外相より上の戴秉国公務委員直々に抗議を言い渡したが、そのとき「両国の友好関係を維持して行きたい」と中国側からも付け加えてきた。

●中国とノルウェーFTA大詰め
いま、中国とノルウェーは二国間貿易協定(FTA)が大詰めを迎えている。当地はEUに加盟していないため、成立すれば欧州から初めての中国との自由貿易協定である。日曜日、当地の漁業大臣が予定通りこの交渉の一環として北京に到着。中国からキャンセルしていないのだから少々苦情を言われても行かなければ失礼だ。当地の養殖サケとマスはいまや中国が最大市場に成長し、輸入超過の半分をサケ・マス輸出で相殺しているほど。

中国に進出しているノルウェー企業は製造業を中心に建築設計会社までけっこう多いが、いまのところイヤガラセはない。もちろん観光規制なし。こうみてくると中国は温家宝が「犯罪者に平和賞とはノーベル賞を冒涜するもの」と強い調子で初日に述べたわりには意気あがらず、胡錦濤は沈黙のありさま。

●外圧に不動たれ
英仏独米から台湾まで民主主義国の首脳の支持と釈放要求が出る状況にあって、ノルウェー政府が中国の警告圧力に毅然とブレないでいる。ま、人権と環境で先行するノルェーの評判を落とすことはできないので毅然とするほかない立場もある。世界を矯正するには、この場合は中国を国際ルールに従うように矯正することだが、国家の大小にかかわらず圧力に屈しない姿勢がいかに重要か、日本政府はよく考えてみること。温家宝と非公式に話しができたことに恭喜し、外圧に右顧左眄(うこさべん)焦点定まらず、劉暁波授賞に口ごもる首相にはお解りいただけそうにない。(了)





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