安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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菅さんの初球ホームラン
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〈 2010年 9月 16日 木曜日 )


円高を止める妙案はないものとおもっていた。いくらドル安になっても米の輸出産業は振るわず、自動車産業が持ち直したにすぎない。米景気が上向く気配はみえず、VからWへ二番底があるかもしれない状況では、円高傾向はしばらく我慢するしかないとおもっていた。あさはかだった。

●菅さんの初球ホームラン
しかし、日銀の為替介入はうまく虚をついて効果てきめんでしたな。菅さんの初球ホームランである。為替相場を張るプロといえばガッツがあってスゴイやつとおもいきや、意表をつかれてあわてふためき、円売りに血道をあげる普通の気弱い人なのだ。部外者には目からウロコ、幽霊の正体見たり枯れ尾花でありました。

いくら市場に投入したのか、ロンドンでは一兆円規模というが、日本では総額2兆円規模との観測である。どっちにしろ1日の介入としてはBold Strike太っ腹だ。ドルは対円で3%以上アップ、ユーロも3%近くアップ、ざまあ見ろでございます。

このさき再度円高に触れることはあっても1ドル85円は割らないだろう。
米や欧州の不満を怖れることはない。急激な為替変動はどの国でも迷惑なので不満があって当然だが、一年で対ドル30%も円高になればG7で協調介入するのが正しい。そこは日本の政治力がお粗末なため実現できないのだが、日本はソロ介入する正当な理由がある。

●米欧の不満は得手勝手だ
いまアメリカは中国の元が人為的に低く設定されていることで、議会は反中ムードが高い。公聴会では安い元政策をとる北京非難があいついだ。関税問題でWTOに提訴した矢先に日本が円安に動いたら、米としては中国通貨を上げろと言いにくくなる。公聴会の審問議員レヴィンは日銀介入を "deeply disturbing" intervention と評した。あるエコノミストはJapan's move would make it more difficult for Congress to get its message through to China.と言ったが、これはオバマの感慨でもあるだろう。

欧州は調子が上向いてきた輸出産業、BMWはいまボロ儲けしているように景気回復が確かになりつつある時に、日本が競争力をつけることを喜ばない。米も欧州も自国の国益に反する行為はと平気悪しざまにいう。単独行為でグローバルな不均衡は是正出来ないとか、スイスが長期に介入したときに効果かんばしくなかった前例を挙げてイチャモンつけたりする。こういう難くせは放置してよろしい。国連総会で演説するなら介入の背景と正当性を解りやすく堂々と教示せよ。ゆめゆめビリーブ・ミーなどと口走ってはならぬ。

●円高許すまじ
菅政府は、まだまだやるぞという頑固な姿勢をブラフでもいいから示すことが肝要。世界の経済欄が、日銀円売り介入の継続性ジャンジャン書いてくれればしめたもの。為替ディーラーも所詮気の弱い人なのだから。(了)





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