安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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続・死んでくれないひとたち
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〈 2010年 8月 22日 日曜日 )


●フィデル・カストロ84才
キューバを半世紀統治した革命家は、肉体的にも不屈の怪物でありました。腸の手術を受けたのが4年前、病因は公表されないが腸ガンにきまっている。もう死ぬとおもうわな。後三ヶ月とコラムに書いたが大外れでした。

手術後のコンプリケーションで寝たきりになり、弟のラウルに大統領を、正式には国家評議会議長だが、委譲した。しばらく映像を全く見せなかったが、チャベスの見舞いにベッドで寝ているフィデルがよく喋っている映像がでて、それからはときどきパジャマ姿で立ち運動したり、TVで演説するまでに回復した。

手は震えているし、老人の喋り方だが頭はボケていませんね。もっぱら国際政局のカストロ流解釈、すなわちアメリカが悪の根元という方向に持ってゆくのですが、鳩山辞任の理由を「在日米軍基地をなくそうとしたから親米派に追放された」と実に明解。かなりいい線いってる。

●はやりのジョーク
己を中心に国民が動いているというカストロ流認識を示す小話がある。ラウルが死を目前にしたフィデルのベッド脇にいて、窓から「フィデル、フィデル」と連呼する群衆の声がする;
フィデル 「あの群衆は何をしてるのか」
ラウル  「お別れにきたのです」
フィデル 「Oh? みんなはどこへ行くのかね」

●臨時国会を召集して演説

8月13日はカストロの誕生日、85才になった。そのまえの8月7日カストロは軍服のシャツを着て国会で10分演説。2年前に自ら引退すると言ったのに…….国会で演説するから全員集まれと招集号令かけて、臨時国会を開かせた。キューバの父、革命の長老はまだそれくらい実力があるということ。

テーマは戦争と環境のふたつ。一部は全世界にTV中継されたが、テーマの内容は米の挑発でイランが先制核攻撃にはしり、そこから地球規模の核戦争がおこると予言。気候変動と環境破壊を憂えるさまは19世紀的モラリストであるカストロの人間性が出ていて、ホロリと苦笑いを交互に速記を読みました。

●記者の質疑に1時間応じた体力
この演説の後、ハバナ駐在の外交官やジャーナリストと質疑応答を1時間こなしている。これだけ元気なら、79才の弟ラウルに何かと口出しするでしょう。一般的な分析は、内政に関する発言を注意深く避けているところからラウルを背後支援するという見方。わたしは背後支援もクソも、今日のキューバ人はカストロが好きでも政治関与はもうたくさんという気持ちだ。

●国家指針を示す君子の役どころ
フィデルもその辺りを心得てか、ベネズエラのTVヴィンタビューに次のように答えている。
�TMy role is to say what is happening so that others can decide what to do. You have to understand that the comrades (in the government) are not people I can lead by the finger or hand. What I want is that they think things over,�U
いわば国の指針を国民と同志に示す偉大なる君子(Legitimator)。(了)





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