●政権が変わると対米姿勢が変わる例
政権が変わると政策が変わる。当然だ。ごくわずか対米政策の振り子が揺れるだけで対米約束が反古にされることはよくある。フィリピンではアヨロがスービック海軍とクラーク九軍基地を撤収させた。これと関連づけて鳩山首相の沖縄基地移転の盲動が言われる。
そうかとおもうと韓国の李明博はさして親米でもなかったが、オバマとの初会談に臨んで北との関係修復と東アジアのこれからのヴィジョンを披瀝した。するとオバマは身を乗り出して拝聴。もっぱら聞き役にまわりいたく感銘を受けたと伝えられる。韓国大統領のアジアヴィジョンは迷惑なヴィジョンだが、オバマの琴線に触れたのだろう。くだらない。それで、一緒になって大規模米韓軍事演習を敵対国の鼻先でやるまでになった。ちょっと刺激がつよすぎやしないか。国際常識では無謀な挑発だが、よろしくないと反対すれば北の味方と思われるので大声が出ないだけだ。
●強親米ウリベから弱親米サントスへ
さて、本題。コロンビアが七月の大統領選挙でウリベ(Alvaro Uribe)が負けてサントス(Juan Manuel Santos)に代わった。新大統領は米とやや距離を置く。隣のチャベスが喜んで、早速ボゴダに出かけて会談、ヴェネズェラ=コロンビアの友好をぶち上げましたね。ゲリラのことやコロンビアの米軍について言い含めて帰ったという。
米軍とは一年2009年9月ウリベがオバマと合意した「コロンビア軍7基地の米軍使用」よるもので、最大米兵800人と民間コントラクター600人が駐留し、期間は10年。通信網を傍受し、ドラッグ取り締まりと反乱グループ鎮圧が目的である。
●チャベスの心配
この合意にチャベスがゲンコツを振りかざし「コロンビアの米軍は我国に侵攻してオフショー油田を占領するためだ」と吠えた。米が開発した石油企業を乗っ取って国営化したチャベスだもの妄想を断ち切れないでいる。ま、クリントンが穏やかに火消しにまわり、米軍駐留は合意通りに進展していた。
●米軍活動を制約する新合意に修正か
18日、コロンビア最高裁がこの09年のウリベが政府決定による合意は違憲と決定、こういう国際合意は議会の承認を要するとして議会に差し戻命じた。合意内容を判定したものではないため、米軍が直ちに撤退しなくてもよい。
サントスは米から受ける支援金のこともあり、この合意推進の立場である。議会多数派であり、合意文書を多少修正するだけで承認可決されることになるだろうが、米軍活動がいまより制約されることは確か。(了)