●ノルウェー軍,路肩ボンブで4人死亡
アフガニスタン情勢がわるい。NATOが主導するISAF治安軍は、この6月に今年最高の死者を出した。一昨日当地ノルウエー軍がパトロール中に路肩ボンブで4人が死亡。沈鬱である。
ノルウェー軍は余り危険でない北西部の守備を受け持つことになって、ベースをつくり、民間の支援者警護と近くの町Maimanaをパトロールするのが任務だった。のだけれど、外国軍のいるところかならずタリバンが見張っている。待ち伏せや、路肩ボンブで今年になって5人犠牲者が出た。
ISAF軍は総勢6500人、ノルウェー軍は現在512人で、派兵国としては最小の部類に入るがそれでもこれまで10数人を失った。ISAF軍の今年の犠牲者は97人、米軍を含めた外国軍の死者は今年前半ですでに317人に達し、昨年度一年で520人であったのから見ると、情勢悪化はあきらか。
●勝ったつもりのタリバン
アフガンにはいま14万人の外国軍がタリバンと戦っているが、カンダハル総攻撃はいつおわるとも知れず、なんら華々しい結果はない。そんなときにイサフマクリスタルが解任され、タリバンは勝ち誇っている。戦闘がターニングポイントにさしかかった今、対タリバンの最高司令官が更迭されたのだからバカなタリバンは勝ったつもりでいる。でも勝ち気分に乗った相手は侮れない。これから大変だぞ。
ところで昨日英紙Independentがマクリスタルが各国の司令官に「今年いっぱいは戦況が好転する期待を抱かないように」と警告していたことをすっぱ抜いた。現地司令官はみんなその気で諦めているから「ああそうですね」だ。軍内部では問題にならなかったが、外に漏れるとまずい。
●暴露記者のワナにかかったマクリスタル
マクリスタル司令官がかに人去れた原因となったローリングストーンというプレーボーイ誌と週間現代がいっしょになったような読み棄て雑誌についてですが、未発売の原稿だから全部は表に出て来ない。これはマクリスタル長期間ぶらさがり記事で、オバマに辞表持ってこい呼びつけられるほど酷いこと言ったというが、発売前のことでもありあり詳細はわからない。ジャーナリストM.HastingsがThe Runaway General(暴走する将軍)というタイトルで記事にした発売前のコピーをNYTやWP紙が入手してそこから色々な人がサワリをチラツカセている。それをちょいと書いておこう。
● オバマがマクリスタルを任命する前、WHで初会見した時の様子を少しだけ同席した部下が漏らした。「オバマはアフガン戦争にエンゲージがうすく俺のボスが何者かオバマはなんにもしらなかったみたい。ボスはがっかりしていたよ」。
● 去年の秋、オバマからあまり露骨にアフガン増派の必要を口にするなと批判されたのを受けて、"I found that time painful, I was selling an unsellable position."「くやしいよ、俺のポジションって何もできないんだ」。だってオバマは増派を約束してマクリスタルを任命しておきながら3ヶ月ペンディングで決められない。言いたくもなるわな。
● 「アイカンベリーは裏切った。(前に上司であったア)イカンベリーとはカルザイの悪口は言わない約束だったのに。作戦遂行の邪魔ばかりする」。なんで犬猿の二人を々任務地につけるんだ。早晩問題起こるは必定。
● バイデンが初めてアフガニを訪問したころHastingが質問「副大統領バイデンですが……」、マクリスタル「何だって」、部下「Bidenです」マクリスタル「Did you say Bite Me?」バイデンをおちょくったという箇所です。
● 携帯ブラックベリーにアフガン特使R.ホルドブルックから入ったメールに「いやだよ、こいつのメールは見たくないよ」。
ホワイトハウスをからかったという将軍の言行録はこんなところ、そんな会話ならWHでも普通のオフレコで会話でしょう。それなのにHWでは軍の文民統制に〆が就かないってんで、くだらない雑誌記事をもとにISDAF
最高司令官を召還馘首。バッターボックスにいる四番バッターを呼び返して退場させたオバマ監督といえばよいか,。
●マクリスタルとマカーサー
さて解任されたマクリスタルは深く詫びて静かに退場、私はオバマ大統領を大変尊敬していると詫びたけれど、言い訳一切しなかったな。「そんなこと言った覚えはない」とか「記者のねつ造だ」なんてオクビにも出さない。マッカサーもそうだった。ターニングポイントで解任され、黙って消えて行った。ただ、マクリスタルは解任理由がくだらないだけに矮小化されて、不運の将軍となる。不公平である。(了)