安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ロシアとノルウェー、40年を経て海境確定
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〈 2010年 4月 28日 水曜日 )


●ノ・ロ海境確定する。
この月火曜の二日、ロシアの大統領が国賓として当地訪問に来ておりまして、赤絨毯に儀じょう兵、国王、皇太子が軍服礼装でお相手、宮殿でのバンケットがおわり、こういうもてなしはロシアには大事です。おろそかにしちゃいけません。メドベージェフは非常に機嫌が良い。そして火曜の国王主宰昼食、大したニュースではないが、その後でアッと驚く抜き打ち調印があった。

●野党も賞賛した快挙
何調印したかというと、40年間バレンツ海・北極海の境界画定で同意出来なかったのに突然基本同意に達した協定書である。この機会に両国政府が種々の懸案事項を話し合うので,ラブロフ外相や経済官僚がお供してきていたが、まさか1両日の話し合いで急転直下に調印できるとは野党党首は勿論,当のストルテンベルグ首相も思っていなかった。突然互いの主張を半分コして海の国境画定に合意した。資源開発二反対する環境団体以外は野党も賛成する快挙である。

メドベージェフはロシア経済の立て直しに技術と経済のノウハウをとりいれ、硬直したロシア産業を活性化したい。ま,そんな所だろうが、最近のロシアはノルウェーを西側の最友好国と自他ともに認めており、両国首相はこれまで十数回世界各地で会談し、気があうらしい。何故かわからんが、首脳同士が気が合うと良い結果を生む。ハトヤマVSオバマのような関係だったらとても合意に至らなかった、そういうツーカーのあいだ柄の役割はおおきい。

●センターラインとセクター原則
北極は南極と違って陸がない。北極の氷の下は海ですから全域に海洋法が適応される。ノルウェーは海洋法で最も適切とされる「センターライン」を主張、これは両国の島々を含む真ん中から北極点を結ぶ線。ロシアは「セクター原則」という法律ではないが人民の権利として古くから極地に接する国々が主張してきた、国土の両端から子午線に沿って極点にむすぶ扇型区域を要求。なお、カナダはセクター原則を主張している。

●ケーキは平等に2等分
ノ・ロ両国の主張する境界線の重なる部分をグレーゾーンとして、この海域は漁業資源は共同で、石油資源開発は互いに止めましょうと2002年にプーチンとボンネヴィクが決めた。ロシア側にあるストックマン海底ガスは、フランスのTOTALが落札し、ノルウェー側は24%の権利を得ている。ガス資源が豊富にあるグレーゾーンを半分コしてでもいいから開発のときが来たとの認識がプーチンにあったのだろう。メドベージェフが独断できるハズもないのだが。


 図は政府の刊行物に合意線を書き加えました。

とはいえこのところ核削減でオバマと調印したり、カチン墜落ではいち早くポーランドに立ち入り調査をゆるしたり、プーチンより見せ場が多くなった。大統領二期目に意欲的な発言があるなど自身の色を鮮明にしつつある。西側首脳の受けがプーチンよりはるかに良いそこが国内人気を落とす原因にならないとも限らない。

さてこの合意はこれから両国の専門家がよってグレーゾーンを半分に分ける実際の線を計測し、両国国会の承認過程を経るので現実的には最低一年はかかるだろう。だが成立は間違い無し。一方オバマの医療改革は決まったけれど両院の予算承認がどうなるか、次期大統領が共和党になれば成立しないわけで、米は国内がすっかり割れてしまった。(了)





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