安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ヘルス法案可決のあと
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〈 2010年 3月 23日 火曜日 )


●明暗を分けた議会ディベート
刻一刻と下院当票までの討論を見ておりました。そしたら少数派のリーダー(会員院内総務)のジョン・ベイナーJohn Boehner が絶叫。共和党は阻止に必死ですね。いい演説、それに議長との掛け合いが何度かあって、この暢気なオジサン風議長の落ち着いたユーモアが息抜きになった。感情に左右されないまさに議長はかくありなむですな。最後にペロシ、自信持ってる\。論旨はいい事ずくめで全然ディベートにならない。おもしろくないけれど民主党の拍手が多い。

ディベート終って投票は15分後に開始を議長が告げる。形勢は法案通過の印象をうけた。開票の結果はYes119標、オヒョー必要数を三票オーバーしました。結局フリップ・フロップの民主党員が16人ですからオバマが張り付いて自ら電話で圧力をかけたわけではないが、造反さんへの圧力がただ事ではなかったようだ。でもこの議員さんたちの地元民は反対派が多い。やはり敗者の役回り、人気を落としますね。

●クリントンにできなかったことをやり遂げたオバマの戦術
思うに、オバマはイラク侵攻に上下両院でたった一人反対したのでしたね。そういう個人の見解を貫いたなら、他の議員が個人の見解を貫くことを尊重すべきではないか、突っ込みたくなる。

クリントンができなかったヘルスケア改革を、オバマができたのはここのところ、法案作成のやり直しやら修正を議会、民主党員で議論してやらせたことにある。そうやって骨組みはなにかと変更され、土壇場でアボーションに税金使わないよう大統領命令を出すと民主党の反対議員に一札を入れた。結果、同じことでも共和党の言い分は聞かず、超党派戦略はボロボロになったが、民主党を掌中に握ることができた。ま、この手が環境や移民の法律改革に有効とは限らないが、当面は失業率10%をどうやって減らすかです。ヘルスケア、国民皆保険といえ,不法移民2000万人に恩恵はない。この人たちの何割か、いずれ米国市民権与えよう法整備がアジェンダに上がって久しいが、ここへ来て愈々遠のいた。改革が軌道に乗ったとしても成果が見えるのは10年、つぎ込む予算のタームを終えてからである。

●共和党、中間選挙を睨んでホクソ笑む
本日か曜日,オバマは法案に署名し成立する。当票から1日たって、米国民の反応がはっきり二つに分かれて現れている。11月の中間選挙では民主党が敗北する予想が強い。法案で負けたマケインは、これで中間選挙に勝てると祝杯をあげたとかいう怪しげな報道がでたほどでした。

北朝鮮では「アメリカでは病院や医者は財布を見て医療をするかどうかきめる」という伝説が国民に浸透していた。訂正されるのだろうか。北欧に住む筆者は、社会保障に欠ける国がなぜ世界最強で医学最先端を有するのか、とても不思議である。(了)





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