安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イラクの本質を風化したアカデミー賞
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〈 2010年 3月 9日 火曜日 )


●虐殺のアフリカ
ナイジェリアで7日、村民虐殺の事件を映像で見てしまった。簡単に殺せる女性と子供が大部分,500人以上が蛮刀で殺害あるいは撲殺された。現実の世の中に起こるんですね。ルアンダで起こったフチ族に夜ツチ族の虐殺が、ナイジェリアのムスリムとキリスト教徒で再発した。ウンザリです。7はイスラムの村がキリスト教徒に虐殺された復讐ですが、宗教より政治が絡んだ衝突である。こういう衝突を止める為に配置されていた治安軍が役に立たなかった、というのが変ではないか。とにかくウンザリです。

●イラク総選挙終る
イラクの選挙が終わった。当地のイラク難民(難民といっても経済難民が殆どですが)は北欧を装具してスウェーデンのストックホルム在外選挙があり、20%くらいの投票率があったもよう。日本の在外選挙が3%に満たないのと比べればごリッパではないか。

イラクでは選挙に生かせまいと過激派のテロが相次いだ。にもかかわらず予想以上の投票者が現れ,住民にボイコットを迫ったスンニの町でも前回の効果無く行列ができたほど。今回の驚きは女性候補の数である。なんでも女性の議員数3分の1が憲法で決められているというので選挙ポスターが華やかだった。開票結果はいつか知りませんがおもしろくなる。

マリキ首相のリードは硬いとおもう。脱宗派が取りざたされ、結構な方向ではあるが、問題が起これば議会でスンニとシーアの抗争に立ち戻るのは火を見るよりあきらか。楽観などトンデモない。オバマは、今回の選挙が無事におわったことで、米兵撤退を予定通が帰還すればよい、イラクなど知ったことかという風潮でしょ。派兵を削減し、概ね撤退を完了した欧州ではイラク問題は風化した。いまはアフガンの派兵拒否にしか関心がない。したがって、イラクの米軍が「飛ぶ鳥あとを濁す」ように撤退しても、反対する共和党の政治家が浮くだけではないだろうか。

●イラク本質の風化を示すアカデミー賞
映画をトンと見なくなった私は、オスカー監督賞に初めて女性が選ばれたってフーン。興味ありませんが、Hurt Lockerというイラク映画がアカデミー賞に輝いたとあってはフーンですまない。爆発物処理の米兵チームを描いた作品だがそんな映画があったことも知らなかった。何故か、映画はイラク戦争の可否を問わず,戦争を賛美も批判もしないので政治的な議論にならなかったからである。スリルとアクションがあり、ユーモアがあって米兵の活躍があり、戦争の議論をしなくてもよい。感傷的に米兵の帰還を願うことでイラクに関わった諸々の霧を晴らせる映画なのである。これを成熟したハリウッドの映画人と捉えてもよし。しかしこの映画がアカデミー授賞を決定する6000人のメンバー、要するに映画人種がいかにイラク社会を風化しているかである。

同じ事はミャンマーの民主化デモvs軍事政権を描いたドキュメンタリーが落選、イルカ捕獲の伝統行事を血なまぐさい野蛮に仕立てたドキュメントが選ばれた





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