安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ウクライナの本返り
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〈 2010年 2月 9日 火曜日 )


●凍りついたオスロフィヨルド
先週水曜からオスロにいました。その日になって家内から3時に出かけるといわれて、そうだった。洗面具と着替えをリュックにいれてあわてて飛び出す。最近、飛行機の預け荷物の重量が厳しくなり、4キロオーバーだった家内のスーツケースが拒否された。超過料金を払うのもばばかばかしいので本を出してわたしの手荷物リュックに入れ替え、まだ1キロオーバーだったがこれしきならパス。

オスロは寒い。何十年ぶりかの大雪と寒気でオスロフィヨルドが遠く見渡す限り凍っていた。氷の上に雪が積もっているので、氷の厚さが判らず危険このうえない。娘一家の新居は郊外で市中より冷え込む。毎朝外気零下10度以下から私に振り分けられた日課の犬の散歩に出る。頬がピリリと冷たく目がさめます。

●ウクライナの本返り
ウクライナの大統領選挙、ヤヌコヴィッチとティモシェンコの決選投票は予想5分5分でどちらが勝っても僅差となる。問題は両方とも敗北を認めないことだったが、その通りティモシェンコは敗北を認めず、ある地方での不正を暴露するヴィデオがあり、国営TVで放送するというウワサが流れた。しかし国際選挙監視団が民主的で公正な選挙であったとつぎつぎ発表するに及んで観念したようだ。

04年、ユーシェンコのオレンジ革命が潰えて今日のキエフは青い旗と青い服装のヤヌコヴィッチ派が行進、東部の保守本拠地からお金をもらって借り出された連中だというが真偽は知らず。

●理念と現実政治
おもうに政治の世界で民主的に政策大転換を行う事の難しさ、理念だけでは不可能の部分が余りにも多いことをウクライナの例が示している。ヤヌコヴィッチはEU加盟の申請を取り下げ、西側の仲間入りをやめてロシア側に戻る。04年の前の状態に逆戻りだ。ティモシェンコが勝ったとしても言える事だが、オレンジ革命とはいったいなんだったのか。理念は高く掲げるものと思えど、成算なき理念ならバカでも叫べる。

鳩山政権またしかりで、長い自民党政権から新しい理念で出発したものの現在のありさまに至った。オバマ政権は一年たってなお戦争の後始末は流動的、グアンタナモ閉鎖はまだ完了せず、医療制度はなお起伏があり、金融業界を救ったもののメインストリートに恩恵はゼロである。中東問題には手つかず、コンゴやスーダンなどアフリカ問題に関与が低い。あきらかにブッシュ政権よりアフリカに冷たい。イランと北朝鮮には対話はどこへやら。孤立化と制裁で対処し、実際面でオバマの理念が実現したものはなにひとつない。巨大な財政出動、大きな政府の結果にしてはあまりにも淋しいではないか。

オバマ政権にはまだしも今後に興味が持てる一事がある。中国とどう向き合うか、オバマの視点が定まっていない所から来る展開である。中国ベッタリの小沢主導では動きようがなくもっぱら日米関係、普天間のゆくへか。ここは米中関係を睨んで双方から益をかすめる術をに智慧をしぼるがよかろう。(了)





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