安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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米中関係、高見の見物
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〈 2010年 2月 3日 水曜日 )


●米経済を救ったと自負する中国人民
米企業制裁、軍事交流中止、核拡散防止交渉棚上げ。米が台湾への武器輸出を決定したとたん、中国が冷静を失い冒頭のような対米制裁を言い出した。台湾への武器供与で軍事交流が中止するのは毎度の事だから、それは織り込み済み。米に態度を硬化させても関係改善は速かった。

ダライラ・ラマがノーベル平和賞を受けた昔、中国は形だけの言葉による反対と非難だけに終始し、具体的な制裁はなかった。その後がたいそうなの剣幕で「メディアは中国を怒らせてまで無理に合う事はない」と論評しておりました。そこへやってきたダライラマが「中国の非難はまいどのことで一過性、全然問題にならないよ」と大笑しておられましたな。で,その通り一過性でした。

ところが今度ばかりは世界の人口の%を占める中国人が心底から怒っている。オバマが、訪米するチベット指導者ダライ・ラマに会うなら口だけでは終らない。特に台湾への武器輸出がきまったブラックホーク戦闘ヘリや迎撃ミサイルのパトリオットを作っている軍産企業は中国からのオーダーがパタっと止まる。シコルスキー、ロッキード、ボーイング、ダグラスなどはオイシイ中国ビジネスがストップする恐怖を感じているだろう。

中国外務省の報道官が「米の金融危機を助けてあげない」と、米経済は我が手中にありみたいな自認を暴露した。ま、米国債を買ったり米国に投資したりハイテク製品を買ってあげているという慢心だ。「台湾は中国の領土、米が踏みにじった上で武器を渡すようではどうして仲良くできようか、商売やめ!」と、なる。アメリカに制裁を課してまでもメンツをたてようとする。一面わが国のナショナリストが羨ましくおもう気概である。

●会う事を拒否出来ない立場のオバマ
もしオバマが中国の天敵ダライ・ラマと会うなら米中協力はホゴにすると、チベットと和平/自治交渉の中国代表である人物が吠えていた。中国ではダライ・ラマは分離独立主義者,騒擾者、極悪人という不動の見方があって、かかる人物と結託する者は同類テロリストと呼んで憚らない。サルコジは北京オリンピックの前、エアバス購入契約の白紙撤回を突きつけられて中国の圧力に屈し、パリに来たダライ.ラマとの会見をキャンセルした。

さてオバマどうする? 会わなければ中国の圧力に負けたことになり、中国側は勝利の気分で米をねじ伏せたと理解する。そうなると、たとえ財政真っ赤でも世界最強と自負する米国民の誇りが許さない。因ってオバマはダライ・マに会う。非公式な形にせよ、とにかく会って米国なりのメンツを立てねばならぬ。オバマは就任以来世界の人権問題に深入りせず、理念を棄てたよう逃げてきたが、世界注視の中、今回は逃げられないぞ。わたしはオバマが会うと思う。フランクに申せば、野次馬的に期待する面があって、わたしもいい加減不真面目なのだ。

もし米中関係がおかしくなると国際的にどんな影響をおよぼすだろうか。日本が困るような影響は少ないと思うので、心情的には米中が派手に渡り合うのを見物したい気持ちである。(了)





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