安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ダシにされて怒ったクリントン
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〈 2009年 12月 23日 水曜日 )


●女王陛下の祝宴に無粋な話題
普天間基地の移転問題がここまでもたついて来年に持ち越そうが米は待つ事ができた。それをCOP15のバンケットで鳩山首相とクリントン長間が隣同士の席になったからといって政治イッシューを議論するのは礼儀に反する。だからクリントンは沖縄住民がどうこうといった説明をうんざりして聞き、適当に相づちをうって真剣には答えていない。国王や女王が主宰するバンケットとはそういうものだ。

先回クリントンは鳩山の説明を「泣き言」と取ったと書いたのは場所柄当然のこと。ここまではしかし弁解がましい泣き言であった以上の問題ではない。問題は首相が日本の記者団に「説明しよく理解を頂いた」といういかにも結論延期で合意したようなヤッターぶりだ。


先回おなじくこのニュースは米で一切報道されず、日本ノメディアが大々的にとりあげたことに言及した。ま、この段階でクリントンが確実に不愉快に思ったことは想像できたが、日本発の通信社および英字新聞がどんな報道をしていたかまで小生は気がつかなかった。影響力をもったのはコペンハーゲン発の共同通信である。引用掲載したネット紙にこんな見出しが踊った。

Japan Today: Clinton shows understanding on Futenma decision.
Bloomberg: Hatoyama says Clinton メUnderstandsモ Futenma delay.

●クリントンに侮辱を与えた鳩山
クリントンが「オーケー、わかった」と外交的に応じたと米国で取られる内容、デンマーク女王の宴会で秘密裏に米政府が了承したとあってはクリントンが、あの野郎、私が承諾するはずないじゃないの、と怒るのは当然だ。打ち消す必要がある。駐米大使を呼んで普天間移転はキャンプ・シュワブよ!とクギをさした。ご用件はそれだけ。これは米側の希望であり、交渉次第で変更は成立するのでなにも断定的に考える必要は無い。ただ、ヒラリーはオフレコを勝手にゆがめて私をこけにしたユキオは信用ならぬと拭えない悪印象をもった。
日本語訳では々になってしまうが、クリントンの"I understood the circumstances"は、鳩山の"She understood the situations"とは大いに異なる。クリントンの返事は「事情はわかった」で、鳩山の「状況を理解していただいた」とはおのずと異なる。

●毅然たれ、まだ遅くはない
だから、首相たる者、国際舞台では毅然とせよ、ゆめゆめ国内の流儀を持ち込んではならない。いまからでも遅くない。藤崎大使がクリントンに呼び出されたからといって首相がウロタエては見苦しい。米国民の大半は沖縄の米軍基地が米にいかなる事情があっても勝手に決定出来るとは思っていない。沖縄本土開墾地の20%を占め、日本全土にある米軍基地の75%が沖縄に集中している。しかも維持費の日本負担が巨大で、米が戦争遂行のためお金を払って使わせてもらっている旧ソ連からのさる独立国とはちがうのである。時間をかけてもキチっとやればよい。(了)





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