安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
アフガンの身代わりにされたパキスタン
------------------------------------------
〈 2009年 10月 19日 月曜日 )


● 停戦が常態になりつつありイスラエル-パレスチナ関係
中東問題といえばイスラエルとパレスチナ決まっていたがガザ地区からのカチューシャロケット攻撃にイスラエル側から徹底した空爆のあと、悪の連鎖が終ったかのように落ち着いた。オルメトかタカ派のナタニエフになったが、怖れられていたような武力衝突の増加はまったくない。拍子抜けというか、思い知ったのであろう。ただいまのところ悲劇はモグラ叩きのようにエジプトへの密輸トンネルを爆破することか、犠牲者はいつも穴の中を行き来する運び屋の少年である。

●アフガンのスケープゴートにされたパキスタン
ともあれ、徹底的攻撃が功を奏した非情の一例であった。それはパレスチナ人の厭戦気分が醸し出したのであって、おなじことがパキスタンのタリバン掃討でも起こるかといえばそれはない。タンポポを根こそぎ苅っても根は来年再び芽を出すように復讐の念が再生される。パキスタン政府軍は早々と「南ワリジスタンはほぼ政府軍の勢力下に置いた」と目が何処を向いているのt言いたくなる。あるコメントでは、政府軍は印度の国境警備隊を相手に紳士的、かつ古典的武力衝突に対処してきたので、ゲリラの本質が分っていないという見解ある。国境に配属されたインド人ヒンズー兵士数十万人に対抗するためパキスタン軍は印度側国境にへばりついて存在をアピールしなければならなかった。反対側の国境はイスラム部族に自治させて安全なのである。

ならば、そのままでよろしいのでは。タリバンとはイスラム神学生のことでありイタズラしなければ武装組織に変身することもなかっただろう。どこでおかしくなったのか。ビンラーデンを追ってアフガンに国連決議により米主導の国際軍が侵攻した8年前、転覆させた所までは良かったが、タリバンの聖地化したパキスタン側国境地帯を過大評価した。うまく行かないアフガニスタン国内平定の言い訳に、その聖地を相当することに執念を燃やしたのである。このときはカルザイも米を利用して大いに煽り、ムシャラフに喧嘩をうり、米は無為と見えたムシャラフ追い落としに加勢した。おかしくなったのはこの辺りとわたしは見る。

ムシャラフにすればあの部族地帯と構えると国内が不安定になり、却って国家を脅かすため滅多に攻撃しなかった。実力行使をしたのは立て篭った神学生タリバンを退去一週間待っても応じなかったので、仕方なく突入させ十数人を殺害した。それだけである。いまは皆殺しの勢いだ。誰が鈍いザルダリをけしかけたか言うまでもない。

●イラン革命軍がテロの目標に
いまや中東問題と聞くとイラク、イラン、アフガニスタン、パキスタンと並んで固まる一帯を反射的に想像するようになった。イランでは18日革命軍を襲撃したバルチ人の自爆テロが二カ所であり、司令官を含む31人が死亡。革命軍が標的にされこれほどのテロを受けるとは、ハメネイ+アフマディネジヤド体制に政治的な大打撃だろう。例の核交渉はIAEAのザルダリ級の無能力エルバラダイを懐柔したものの、今日、月曜開催さレル各国代表との実務者会議にイランは欠席を前から通告している。こんな事件があると分っていたら集積し「バルチスタンのテロは米の陰謀だ」と息巻いて退場できたのに……

●カルザイ過半数を失う
アフガニスタンではカルザイの得票率が巣製氷疑惑の一部のみ再集結して47%となった。それだけでも56%から一挙に10%近く過半数を割った。ここで規則通りアブドゥラと決選投票にカルザイが応じるか、一ヶ月以上は紛糾するだろう。大統領選挙に勝つ為には犯罪者でも女性のブルカ強制使用にも賛成する(あとで撤回したが)に至っては、こんな男とは思わなかったといまさら地団駄踏んでも遅い。

●難事の友は真の友?
戦後イラクの最初の指導者に担ぐ予定だったチャラビは米が騙されたと気付いて追い出したが、アフガンで担いだカルザイはスルメのように噛み切れない。却って米が利用された。このところ、そんなカルザイを訪ねるのは苦情を伝える賓客だけ。困ったときの助っ人は神様に見えることを勘案してか知らずか、ひとり支援案をもってカブールに乗り込んだ奇怪な外相がひとりいた。影で感涙にむせったであろうカルザイは、天皇陛下貴と殿の国民によろしくと手を握ったそうな。エンバラシングであるが、どうせアフガンは次の4年もカルザイだろう。中国の得意技である火事場泥棒と抜け駆けの功名、この後者の方で実利をとったかもしれぬ件の外相。ただあの国は自然資源がとぼしくて。(了)





Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る