安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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総攻撃に号令
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〈 2009年 10月 18日 日曜日 )


● 南ワジリスタンは山だらけ
ついに総攻撃が始まった。土曜日南ワジリスタンへパキスタン軍ブーツの地上軍3万人が侵攻、全軍6万が待機しており、その反数が初日からワジリスタンへ投入された。向かうはハキムラ・メスードのいるタリバンの基地があるマキインMakeenというと山間部の町。パキスタンタリバンの最大組織はメスード派が1万人くらいか。それに加えて地方のグループ、外国から参入しているアルカイダ系がいる。多くて合計2万人。ただし地域の面積からすれば吉野山より小さく、そこに2万人といえば南朝を亡ぼす非ではない。

しかし、進み先々で戦闘があり、タリバンは怯まず反撃しているらしい。アフガニスタンのタリバンは形勢が悪いと、正面から反撃などせず隠れるのだが、パキスタンのタリバンは逃げて行く場所がない。そのかわり、スワトの谷とは地形が異なる荒らしい山塊のワジリスタンでは神出鬼没のゲリラ戦に適した地勢が政府軍には不利だ。政府軍は手こずるだろう。

●米機出動
総攻撃に先立って厳戒令が出され、住民は陸続と避難をはじめた。侵攻するコンヴォイと引っ越し荷物をロバや荷車に積んだ住民がぶつかり、どちらも動きが緩慢。それが初日である。
このあとどれくらい避難住民がワジリスタンの外に出るか、戦闘の激しさにもよるが、米空軍がこの総攻撃に呼応して、空から猛攻を加えている。ドローンではない。パイロットが乗っている戦闘機だ。

南ワジリスタンの住民は古来のイスラム教を拠り所に生活し、反政府武装派のシンパである。空爆では民間三人にタリバン一人の割合で殺されているが、シンパの中にいるのだからどうしても民間犠牲がふえる。いまの米軍はもう民間人が殺されることに麻痺してきた。

ワジリスタンの自爆テロ訓練の模様が、7−8月の映像らしいが見ると志願者は12、3歳の子供ではないか。当地ではアフガンに少数だが派兵して、砂漠の中に基地を作って、そこから近隣のパトロールをする際、路肩ボンブや銃撃を受けることしばしばだった。最近頭が痛いのは武装ゲリラと遭遇すると当然打ち合いになるが、そのとき敵は少年兵をがフロントにいることだ。相手が少年でも兵士たるもの戦闘で打たない訳にはまいらぬ。そういうことが議論されるようになった。

●2ヶ月の予定が……
政府はおよそ2ヶ月をめどにこの総攻撃をはじめたと言われている。先のスワトより手強いと予期しているのだろう。

米軍は空爆を続けるだろう。自軍の犠牲をゼロにして国論の批判をかわしているが、ひどいやり方ではないか。お陰でパキスタン国内の自爆テロが増加の一途、ブットが暗殺され、身代わりに権力者になったザルダリはは国の災難である。(了)





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