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ヤグランが選んだノーベル平和賞
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〈 2009年 10月 10日 土曜日 )
●ため息とGASP
大失敗をやらかしたアーっと頭を抱えてため息が出る。ノーベル平和賞がオバマに決まったと聞いた時、そのた大きなめ息が何度も出た。こういうとき西洋人は逆に息を吸い込む方のGASPをする。私に限らず当地ノルウェー人もGasp組が多いようで、この決定に賛否のブログ投票で60%が反対、36%が賛成と現時点にあった。わたしはもちろん反対に投じました。 ●選考委委員長は暗愚のヤグラン ヤグランThorbjソrn Jaglandが平和賞の委員長をしているからには、こういうオカシナ選択があるのに不思議はない。どうしてこのようなボンクラ無能と思える人物がまとめ役のトップにぴょんぴょん移れるのか不可解。政治の世界には他の業界にない特殊なバカの有効利用が可能であるというサンプルだろうか。 労働党のヤグランは根回し専門の丁稚あがりのような人物、一度首相になったが補佐役に国会図書館長といまでは相手にされなくなった国連中東特使レッド・ラーセンを顧問にして幼稚な平和国家建設の青写真を掲げたところ、たちまち補佐役が不信任、ヤグラン政権はさんざんのすえ敗退したのだが、その後国会議長に祭り上げられ、またこの2年間は政府資金を使って欧州評議会議長(任期5年)の売り込み訪問に専念した甲斐あって先月当選したところである。 この欧州評議会はロシア、ウクライナ、グルジア、アゼルバイジャンなどベラルーシを除く旧ソ連諸国が加盟、トルコも加盟して47カ国の大所帯。EU とは異なり、政治的な力はないが、というよりロシアやBRICS、イスラムのトルコが入って具体的な決議がまとまることなどありえない。汎ヨーロッパ民主主義と人権擁護に主眼を置き本部ストラスブールにある国際人権法廷はこの傘下にある。とはいえ職員5000人もいる国際組織の長といえばたいしたものだが、議長Presidentに立候補していたのはポーランドの元外相とこのヤグランの二人だけ。この組織の長は大国代表が疎まれるので小国の出身者になることが多い。 ●言葉至上主義の似た者同士 ヤグランとは演説こそ下手だが、そういう民主平和の言葉だけが総ての人ですから、オバマの熱狂がまだ覚めやらず、授賞理由に述べたとおり「イスラムに手を差し伸べアメリカの一国主義を国際協調と話し合いに180度転回した」とフィーバーを維持している。オバマがイニシアチブを取ったものの自身ができるとおもっていない核兵器廃絶の世界というヴィジョンを、ヤグランは信じてこれを授賞理由にあげサポーとするのだと。そういえばハトヤマさんも大いに賛美していましたな。 でも、核廃絶とか、兵器削減とかは互いの軍事力を見計らいながら地道に行うものであって、勇ましく軍縮ラッパを吹いても動くものではなかろう。 ●オバマの電話に待たされる ヤグランは発表後1時間(ちょっと長過ぎる)過ぎてからオバマから電話を受け、ノーベル委員会の意図に完全にマッチする会話ができたと有頂天である。内容はオバマが早朝WHの庭で語ったことと同様で、オバマはわたしがスタートした世界をより安全な軌道に戻す外交を推進する総ての者への賞である、その軌道への支援ばかりでなくこの軌道を外れないように進むようにとの忠告と受け止めている。そうオバマが電話で言ったと、実際の電話の何倍も長くインタビューに答える。 12月10日の授賞式は変えられない。オバマは日程を調節して必ず出席するとヤグランドに伝えた。コペンの失敗をオスロで雪辱出来るか、授賞式の日は荒れるだろう。(了)
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