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独断?マクアスキル法務相
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〈 2009年 8月 26日 水曜日 )
●パンナム機爆破犯を釈放
。MacAskilという名前もアクセントもまごうかたなきスコットランドの司法相が温情によりon the base of compassion 釈放、直ちにリビアに送還する。で、これは私ひとりで決定したI alone, I alonneと何度も言った。因にcompassionとはおなじ高さに立つ共有感情であって上からの憐憫ではないところから宗教界では「共苦」と訳語する。 何処の国でも恩赦とか、死刑執行は法務大臣が決定するので、特別な委員会が合議で行うのではない。おなじく病気に寄る温情釈放を申請していた7人は拒否し、なぜメグラヒだけ認めたのか。テロリストを釈放する-しないは100%政治的だろう。ならば法の自立を守るためにも温情釈放はあってはならない。くり返し言い張った「私ひとりの決定」がわざとらしく不審に思える。 パンナム機を空中爆破して、墜ちたロッカビー郊外の家をなぎ倒して犠牲者270人、そのうち米人189人である。温情など皆無、冷酷な犯人にそもそも温情は理由にならないではないか。 ●テロリストに温情の余地なし これは前回英国司法省がやはり余命幾ばく不治の病を理由に列車強奪のブリクスを温情釈放したが、これとメグラヒはまるで違う。ブリクスは誰も殺していない。イギリスで慣習になっている末期病の受刑者釈放にテロリストはいない。メグラヒは膀胱ガンで余命3ヶ月と医師の宣告を受け、それが理由だが、まだ57歳です。カダフィが手を伸ばして最高医療を施せば余命3ヶ月以内を6ヶ月にすることは可能だ。そうなったら釈放の正当性は瓦解する。 当地時間でおなじ夜、ラリー・キングが膀胱ガンを克服したテニスのマッケンローや手遅れと宣告後に回復した知名人とのトークショーをみて、ひょっとしたらとおもわせる。もうすぐ死ぬといわれていた腸ガンのカストロはピンピンしている。 マクアスキル司法相は月曜日スコットランド議会で、またも「私ひとりの決定」を主張 "The Decision was not based on political, economic or diplomatic considerations. This was my decision and my decision alone, I stand by it and I live with the consequences." 私の決定は不動、結果と生きる覚悟、と言いました。、ここまでブレない法務大臣には一面敬意を表します。 ●石油と兵器、政治取引のかげ 長くなりそうなので、政治的取引のウワサなど箇条書きにしておわります。 ▽トリポリ空港で畿内から一緒に現れ、仕切っていた若い男はカダフィの息子で、数週間前からエディンバラで待機、彼の言では4週間前に釈放がほぼ決定した。釈放とリビアの石油権益、貿易優先国を政府間で交渉してきたと暴露 ▽ 英ミリバン外相とマンデルソン経済通産大臣が猛然と反論、ブラウンはノーコメント。 ▽ リビヤとはヒーローの帰還にしない、実家で軟禁との約束があったが、スコットランド旗とリビヤ国旗で歓迎。マクアスキルが約束違反と非難。 ▽ マクアスキルは米政府、クリントン外相の反対との意見を聞いた。ブラウンとは連絡をつけてもらえなかった。 ▽ リビアは、カダフィの息子は政府官職をもたない民間人で、空港に政府関係者は迎えていない。国営TGで放送しなかった。約束は守ったと反論。 ▽ カダフィがメグラヒと会見、グラウン首相とエリザベス女王に謝意を述べる。英とリビアのビジネス促進取引の信憑性を臭わせる。これにイギリスは困惑。 ▽ リビアとの通商はプリンス・アンドルーが親善大使を努めてきたが今月の訪問は延期。 ▽ イギリス人の大半は米FBIが捕まえて、オランダでの代理裁判で27年の刑を受けたメグラヒを真犯人とおもっていない。しかしリビア政府の要人が関与したと信じている。一方、米は真犯人であることを疑わない。メグラヒ自身は事件関連を否定,一貫して無罪を主張。 ▽ この件で米英関係がこじれるか、との問いは愚問。 ▽ 夏休みを終え、秋にスコットランド議会が始まると野党連合でマクアスキルの不信任を提出するかも。 なお、スコットランドはエディンバラに地方政府を持ち、外交や財政,金融はブリティッシュGovm.で行うが医療、教育、法務などはスコティッシュGovm.が独自に施行する。いわば東京に日本政府があって大阪に関西-四国を統括する地方政府があり、ウェールズは九州政府、アイルランドは北海道政府となろう。(了)
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