-------- ----------------------------------
USのパキスタン戦略は成功するか?
------------------------------------------
〈 2009年 8月 10日 月曜日 )
●メスードは爆殺したが……
米の越境ドローン(無人偵察爆撃機)攻撃はついにパキスタンのタリバン指導者メスードを殺害した。と、ほぼ確実になり、米とザルダリ政府は自画自賛。これでパキスタンのタリバン勢力は弱体化するだろうと楽天的だが、そんなに無邪気でよいのでしょうか。 昨日パキスタン世論調査が出て「ああ、やっぱり」の感でありました。調査はギャラップのパキスタン支部が行った聞き取り調査で、2600人を対象。男女、階級、貧富とりまぜ信頼するに足る十分な数です。 ●脅威はタリバンよりインド 詳しい結果はhttp://english.aljazeera.net/focus/2009/08/2009888238994769.html を見ていただくとして要点は 国の脅威はタリバンと答えたのが11%にすぎない。イスラマバードのホテルや警察、学校などのボンブはタリバンの仕業なのですが、国民はそう思ってないのです。ちょっと面くらった。脅威はインド、と答えたのが18%、三つ子の魂百までともうしますか、インドは依然仇敵No1として持続している。これが印パ草の根の国際関係、肝にめいじておこう。 ●最大の脅威は圧倒的にアメリカ で、アメリカはといえば59%が最大の脅威と回答。圧倒的にアメリカは憎まれていますな。軍事、経済援助はオバマもシッカリ続けているが好意をもっていただけない。日本も中国に戦後ず−−−っと援助金を出してきたのに……ありがとうを聞いたことがない。あれより酷い。タリバンをやっつけるのは41%が賛成しているのでそれはよいが、ドローンでは民間人が何気なく殺され、パキスタン軍のスワト侵攻で260万人の難民をつくってしまった。鉄条網の中のだだっ広いテント村に押し込んで、この難民解決はタリバンに総攻撃をかけるよりも難しいのがわかってるだろうに、米がザルダリとキアニ将軍に無理強いした戦いだ。オバマの責任ですよ。 ●残された大問題、国内難民 67%が領土内でアメリカの軍事行動を許さないと、この民意は9年前からあったにもかかわらず、ドローン攻撃は総計数百回出動しただろうか。アフガン側からヒット&ランの忍者部隊もいる。蹂躙される国民の気持ちがわからない米軍でもあるまいに。 ●ザルダリの支持率9% さて、ザルダリの支持率は9%、一桁だ。ギラニ首相が13%、キアニの軍部が11%、ザルダリはこのほどIMFの融資を取り付けたが、アメリカ恃みが政権維持に依存している事実に変わりない。そして米のパキスタン戦略が一時的に成功しても、仇敵アメリカはパキスタンの「三つ子の魂」となろう。(了)
|