安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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人質を連れ戻したビル・クリントン
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〈 2009年 8月 5日 水曜日 )


●お助けマン、クリントン元大統領
ビル・クリントン一行、乗組員や通訳を含め総勢30人ほどが火曜日大型チャーター機で平城入り、驚いたなあ。夜の晩餐会に出て翌朝水曜日平城を飛び立った平壌夏の涼風でありました。長居してオルブライとの二の舞を見せたくなかったし、将軍様のスタミナがもたないからちょうど良かった。そのあとで北朝鮮側から予定通り二人の米国籍女性TV記者を「人道と平和を愛するポリシー」により恩赦したと発表。二人もクリントン機に同乗しているらしい。ロス到着時は♪Joy to the world. The savior's come♪でありましょう。

●人質外交も受け方しだい
人質外交。オバマ政府がいくら「クリントンの私的な活動」と言い張っても大向こうから笑われるだけだ。米は北のイニシアチブに従った事実は揺るがせない。けれど誘いに乗って、いいとこ取りするのが外交の極意、屈辱外交というのはあたらないでしょう。

それにしても金正日の「してやったり」と言わんばかりの笑顔に比し、お詫びと引き換えに恩赦のミッションにきたクリントンの顔は冴えなかったですな。訪問の最終合意はカン・ソクジュ(外務次官、米折衝の古狸)とスウェーデン在平城大使(米の意向を代理)で決まった。そもそもこの人質の件では始まりから2-3の間違いがあった。

●レポーターは危険を自覚せよ
1)二人の記者が裁判で越境侵入と、北の人権抑圧を非難する番組作りあったことを認め、12年の重労働判決が出たとき、ヒラリーが人道的恩赦を要請したこと。オバマ政権は北の法廷プロセスを認めた結果になった。ここで北のワナにまんまとしてやられた。

2)越境したTVクルーはカメラの男性二人と4人いたが、男は国境警備員の手を振り切って逃げた。同僚を見捨てた情けない野郎であったこと。その後はメディアから隠れて二重に情けない。

3)自由圏の世界では不法侵入、不法滞在、不法労働が花盛りでバレても実刑を受けるなんてことはない。しかしハイキング中にイラン側に迷い込んだ米人男女が拘束されているように、北朝鮮など外交関係のない敵対国に足を突っ込むときの当人の自覚が足りなかった。記者の場合はTV局のプロデューサーや法律部長など上役3人が企画した、と北の調書に名前があがっている(北朝鮮中央通信)。でもどこまで踏み込むか、やっぱりレポーター、中国系のリンさんと韓国系のリーさんの自覚が甘かった。

●気になるクリントンへの謝礼?
クリントンはオバマのメッセージを口頭で伝え、二人の違法越境に真摯な陳謝を述べたと北側が発表し、クリントン側報道官も減刑した。ギブス報道官は根も葉もないウソという。あと核を含む多様なテーマを議論し応酬があったという。人質を返す見返りは不明だが政府間相互の具体的約束はない。オバマはあくまで米政府が関与しないことにしてフリーハンドである。ともあれビル・クリントンに動いてもらうとスゴイお金が要ります。

●よきかな、ヒラリーの正日人物評
わたしが米朝関係でいいなと思った発言はヒラリーが金日成を評して「親の注意を惹こうとゴネル子供」。同感です。4年前くらい前のコラムに「正日はスポイルド・チャイルドですからガキ大将に対するように接するべし」との趣旨を書いた。どの国の評論家にも言えることだが、難しい独裁者を自分が理解できないと「有能で術策に長ける」と誉める。生存中のホメイニ、フセイン、最近までのアフマディネジャド、いまの金正日がその例。

●ガキ大将にもひとつの正論
ガキ大将の金正日でもひとつ好い事を言いました。「6カ国協議は意味なし、復帰しない」。全くその通り、あれを続ける限り解決に至らないように」なっている。止めるべきです。各国とも2国間でやればよろしい。日本の拉致問題解決を6カ国協議を通じてというわが政府の一つ覚えをはやく打ち切ってもらいたい。米人記者の拘束にアメリカ外の国がなにかしましたか。日本は美人記者の救出法を考えたことはありますか。ない、あたりまえだ。日本人拉致問題解決を他国に頼ることはできない。(了)



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