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米露関係リセットならず
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〈 2009年 7月 8日 水曜日 )
●マイケル・ジャクソン漬け
今日のニュースはマイケル・ジャクソンばかり見せられてウンザリ。ワシントン・ポストNet 版が5ページも割いてトップ扱いするほどですから、ついて行けない者の悲哀をかこっております。なんでもオバマはマイケルの音楽は全部iPodにダウンロードしてあるとTVインタビューで話していました。マイケルの感覚を持つ大統領が要求される時代なのでしょう。 ●米ロ関係かわらず それで判ったのですが、オバマがG8+サミットの前に2日間のロシア訪問でアメリカ人の78%が米ロ関係が改善されたと世論調査に出ました。ムードです。オバマなら諸国と関係がよくなるという絶大なムードがある。合意できたのは核弾頭とその運搬機器の削減を大枠で署名しただけ。この分野は常に進化しているので旧い弾頭は黙っていても廃棄処分にするしかないシロモノなのだが米は有る程度遺している。それなりの使い道があるからだ。また現在の高性能核弾頭数を減らさないから破壊能力はいっこうに減らない。 ●STARTはEND この取り決めは今年いっぱいで期限切れとなる両国が合意したSTART(戦力核兵器削減条約)を反故にするもので、ちょうど環境の京都議定書みたいに達成できず修正議定書ばかりつくっているのと似たようのものだ。実際の米ロ関係は相変わらず冷ややかで、米がチェコに配置するミサイル防衛計画MDにロシアが対抗措置(飛び地カリーニングラードと黒海のヴォロッシスクにミサイル基地を設置)をとっている。 この件に関して、オバマはモスクワ経済大学での講演の中で、妙な提案をした。「イランが核兵器を断念すればポーランドとチェコに計画中のMDも必要ない」。ロシアがイラン説得を怠たっているからだと言わんばかり。建て前として相手国に敬意をはらいオダテをまぶせるカイロ大学での講演とおなじレトリック。実際の外交関係は旧態依然、ま、それで良いのであるがどうして78%の米人がオバマの能力を肯定するのか、ムードというほかない。 ●オバマ観、米と世界で落差 しかし別の世界世論調査(WPO)では「公正な外交」と「力の乱用行使」および「国際法遵守」で3分の2が米を批判した回答があった。これが米のムードに冷や水をかけてくれればよいのだが。 ●米露の不一致 上記MDAとイランの核問題のほか、米露の不一致点を洗い出しておく: ○ グルジア:米はロシアが侵攻し南オセチアとアブカシスをグルジアから分離させたと非難、サーカシビリ政権を支持。一方ロシアはサーカシビリが南オセチアを実行支配しようと軍事侵攻したのが端緒、ロシア国籍の住民を守る正当防衛と主張。 ○ アフガニスタンへの補給路:米はウズベイキスタンの基地借用から閉め出され、キルギスに米軍基地があるがロシア経由で武器弾薬を運びたい。ロシアは拒否している。 ○ ウクライナとグルジアのNATO加盟を米が支持、EU各国は乗り気でなく、ロシアは断固反対。 ○ ロシアのWTO加盟:ロシアはすでに16年間、加盟申請をたなざらしされている。米は資格を満たしていないことを理由に不支持。中国のほうがまだしもビジネ環境が進んでいるようだ。(了)
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