安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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弱みは見せまい!ハメネイ
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〈 2009年 6月 20日 土曜日 )


●妥協しなかった金曜日礼拝演説
ハメネイ最高指導者が予告どおり金曜礼拝で長い演説を行った。イスラム正義を信じて疑わない、おもったより石頭ですね。投票者がたいへん多かったのはみなハメネイが支持したアフマディネジャド(以下アフマ)に投票した、と信じて疑わない。反対者は棄権する(ま、以前はそうでしたが)と頭から決めている石頭ですね。

「イランの選挙に不正はありえない、どうやって票の操作ができるのか」ハメネイはここから演繹するので「民主主義は投票箱から、文句があるなら法廷で解決、市街からではない」ときて「デモはおしまいに、さもなくば責任は君たちにある」。つまりきたるべき武力鎮圧への最高権力者からのゴーサインである。

簡易集会テントのような会場の前列にアフマやアヤトラNr2がかしこまって座り、外では声を聞く数万の群衆がいちいち右手を突き出して応答する。聴衆のなかに反対姿勢を見せる者が皆無であることがイラン宗教政治の恐怖をよくしめしているではないか。「選挙は終わった、結果は出た」Elections are over, the result is set 。ここでそうだと全員右コブシを突き出す。ハメネイは「経済政策と外交はアフマに似ている」とアフマ支持を再度明瞭にした。またコブシだ。

●抗議デモはしばらく見合わせ
木曜日には最大の抗議デモがあったが、金曜日朝のハメネイ演説からはヒッソリと消えた。殺されるかもしれませんからそりゃ怖じ気づきます。今後しばらく抗議運動はないだろう。もしテヘランで治安部隊も手が出せないほど、百万人の大集会が開ければ、再選挙に繋がる。来週なにかおこるか、でなければアフマの4年続投は堅い。

逮捕者は4桁を報道するところもある。イランは在外公館の長を招致して干渉するなと忠告してきた。スイス(米を代行する)英独仏西の大使ほかチェコとポーランドの大使も呼びつけられた。日本は?さあ。

●イギリスをやり玉に
金曜日、演説が終わるやイギリスが逆にイランの大使を招致して抗議した。大使留守につき代わりにNo3が英外務省に来た。チトなめられたか。ハメネイがイギリスをMost Evil, Treacherous (欧米諸国のなかで)邪悪な裏切り者!と呼んだためである。英メディアはハメネイが「アメリカ」と言う勇気がなくて、「イギリス」にしたのか、「オバマ」は対話してくると読んで保存したのかなどと憶測している。ま、両方あたっていると思う。

さて、ハメネイが演説で妥協しなかった何故か、パーレビ・シャー国王の失敗に学んだというイランウォッチャ−(Meir Javedanfar)の意見がある。シャーがマスデモに折れてバクチヤールを首相にしたとき、国民はシャーの弱さを知った。それがホメイニ帰還、シャーとシャーの支持者の追放に到った。故にハメネイは弱みを見せられない。これも言えるとおもう。

●不正選挙への大抗議、ムサヴィへの中小支持
人の意見ばかりでは情けないのでハードに一言:このテーマ初回の12日
>ラフサンジャニもムサヴィも核開発を進め、IAEAの査察に抵抗していた食えないコンビ、良い印象はもっていない。<
と書いたように、ムサヴィは抗議群衆のヒーロー的支持を受けていると思われがちだが、中味は不正選挙そのものへの抗議である。したがって再選挙、できれば立候補者をイスラム護憲評議会が資格判定で本当の改革派をふるい落とすことのないようにしたうえで再選挙を望んでいる。

●確執コンビハメネイとラフサンジャニ
またハメネイはムサヴィでもかまわないのだが,背後にいるライバル、前大統領でイラン最高指導者の任免権がある専門家会議の議長でもあるラフサンジャニの影響力が怖い。私はハメネイとラフサンジャニ(78)の確執が、今回妥協しなかった所以であろうと考える。できればこの二人が共倒れするといちばんよいとおもっている。(了)



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