安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イラン、経験不足の抗議デモ
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〈 2009年 6月 15日 月曜日 )


●地滑り勝利、それは変だ
イラン大統領選選の開票結果が土曜日現地時間の昼に発表されたのですが、あれはおかしい。何か起こるぞとピンと来る前にテヘランではおわる。金曜日投票を待つばかりとなりました。アフマディネジャド(53歳、以下アフマ)が半数にギリギリなら、ああ残念とおもうけれど、62.6%という地滑り勝利はないだろう。で、改革派のムサヴィ(68歳)が37.7%ならあと二人の候補者、レザイと長老は足して5%もない。そりゃないよ。得票数を発表しないで得票率だけなのはなぜだ。日本では考えられない投票率をあげたイラン国民をソデにする茶番劇ですね。

●初めてのデモ、やり方がわかってない
そんなわけで、抗議運動がどうなるか、日曜日もかなりのデモがあり、夜になっても続いているが、どうもポシャる感じがしてアフマ再選は動かないとみた。イランで抗議デモがあったのはパーレビ王朝のシャー国王を追放したときで、土・日に石を投げて気勢を上げた学生世代はまだ生まれていない頃だ。みなデモは初めてだろう。商店を壊し略奪する西側の同僚より全然おとなしい。統制がとれていない、指導者がいない。それもそのはず組織できるような改革派の活動家は数珠つなぎに百人ほど逮捕され、残りは逃げ隠れしていたのですな。

●見ざる言わざるカーター
イラン権力の頂点に立つハメネイがアフマを祝福したからには、あの国ではどうにもならない。烏合の集まりであるデモを粉砕するにはまだ警察機動隊で十分、革命軍は出動していない。これが出動すれば中国治安部隊のチベットの弾圧より酷くなるだろう。不思議なのは選挙の国際監視団だ。毎度のようにカーターが監視員にいるが、ウンともスンとも言わない。報道されていない。

●開票経路の伏魔殿
イランの選挙制度は非常に複雑でいろいろな投票読みの経路、国会、最高宗教指導者会議、国軍、法務大臣、ロジスティック評議会、等の認証を経て「監督者評議会」Gurdian Councilで決定される。これは候補者をふるいにかけて人気のあった若い女性候補なども資格がないと落とし、4人だけ認めた機関である。

投票の経過と結果が明らかになることは絶対ない、金輪際ない。

●アフマへの祝電一番乗りは、中露かオバマか
中露もまだアフマにお祝い電報を送っていないが、時間の問題だろう。しばらく注視するという態度の欧州各国は、オバマが率先して祝電を出すのを待っている。アフマは「イランの核開発を巡る論議は過去のこと」とここまでは前から言い続けて交渉拒否の理由にしていたが「核廃絶に向けた国際努力を歓迎embraceする」と言い放った。核保有を既定の事実にするつもりか。

イスラエルのナタニエフが日曜日、「パレスチナの軍解除を条件に部分的2国家共存を認める」と、オバマに折れた複雑怪奇な演説をしましたが(米の命令に所詮抗えず)、ポイントはそこになくてイランの核開発は断じて許さない、アフマへの布告にある。

イタリアを三日間訪問したカダフィ大佐どのはマンガでした。こっちのほうが危険でなくて笑っておれて無害です。(了)



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